テレフォン ノイローゼ


初めて彼女に電話をした時
覚えているかい
緊張して手が震えたけど

彼女の声を聞いてたら落ち着いて
そして
彼女の声がいつもと違うことに気がついて

僕は恋に落ちた
もうとっくに落ちていたけどね
彼女の声の虜になったんだ

電話で話す彼女の声はいつもと違うんだ
何が違うのかって
うーん説明できないや

とにかく違うんだ
甘くて切なくてか細くてチャーミングで
何よりずっと話していたくなる

そんな声
そう安心させてくれるんだ
彼女の声を聞くと安心できる

不思議な声さ
いつも話しているのにね
電話で聞く彼女の声は特別だ

だからメールじゃダメなんだ
ラインやインスタなんかじゃ伝わらない
電話じゃなければダメなんだ

今時なに言ってんのって
笑われるけど
真剣だよ

僕に電話してください
言葉じゃなければ伝わらないものがあるから
言葉じゃなければ伝えられないものがあるから

みんな忘れちゃってるんじゃない
こんな素敵で
こんな幸せなことを

 

彼女の声


彼女は透き通るような声で歌う
あたり一面の空気をシンとさせ
その空気を震えさせるようにして僕らの耳に届ける

その声は神々しい
彼女は女神かもしれない
それとも天使なのか

そう思わせる彼女の声は
僕らに感動とロマンを与える
分け隔てなくみんなに与える

そんな彼女が僕に声をかけてくれたなら
そんなことを想像して
僕はいてもたってもいられなくなる

彼女が僕に声をかけた瞬間
彼女の声は僕だけのものになる
僕だけの彼女の声になる

もし僕と彼女が恋に落ちたなら
僕だけしか知らない彼女の声
見つけてみたい

僕だけが知ってる
僕だけの彼女の声
僕らだけの秘密

でもそんなことはなくて
でもそんなことを夢見て
彼女を見つめる僕がいる

いいじゃない
それが恋というものだから
声から始まる恋がある

彼女の歌声
今日も聴きながら
僕だけの声を待つ

 

一本の木


道に佇む一本の木
誰も気にとめることのない
誰も知らない一本の木

この木は果実を実らせるでもなく
花を咲かせるのでもなく
紅黄に色づき人を喜ばせるわけでもない

ただただそこに佇むだけ
凛と静かに存在するだけ
何も言わずただいるだけ

寂しくはないのだろうか
一体いつからここにいるのだろうか
一体いつまでここにいるのだろうか

でもよく考えてごらん
僕らと何が違うのかって
何も違わない

僕らは話はするけど
歩いて移動するけど
ただ存在しているだけ

この世界に佇む一人の人間
誰も気にとめることのない
誰も知らない一人の人間

でもだからって嘆く必要はない
これが自然というものだから
これが生きるということだから

僕らとあの木は一緒の存在
それに気づくだけでも世界が変わる
明日あの木に触ってみよう

何かが見えるかもしれない
何かが聞こえるかもしれない
それが僕らの生きてる証だから

 

街灯


道を行くと
無数の街灯が
僕らの進む方向を照らし出している

いったい何本あるのだろう
そしてどこまで続くのだろう
ありとあらゆる道を街灯が照らしている

田舎の田んぼ道
昔からある細い電信柱
そこでか弱い光を放つ街灯

虫たちが寄ってきては
盛んに光を求め
自分のものにしようと反射させている

高速道路
一定の間隔で立ち並び
強い光を発している街灯

行き交う車のヘッドライトに負けるものかと
そして優しく導き出す寛容性を携えながら
知らないうちに僕らに安心を提供する彼ら

住宅街
緩やかな光ながらも
人が住む息吹を感じさせる街灯

ここに住んでいる人がいる
それを示すかのように
家路につく人々を導く存在

僕らは街灯に導かれ
いつもの場所に帰って行く
迷うことも途方にくれることもない

いつもの街灯が
僕らを待っている
そして行く先々でも僕らを待っている

僕らも街灯のような存在になれるだろうか
僕は誰の街灯になれるのだろう
僕はどんな街灯になれるのだろう

月明かりのない日も大丈夫
僕が守ってあげる
そんな街灯に僕もなりたい

 

熱狂


昨日サッカーの試合を見に行ったら
たくましい選手たちがすごいプレーを見せていて
それを応援する何万人もの人たちがいて
僕は怖かった

芝生の上で躍動する選手たちはヒーローだ
選ばれし者たち
もちろんすごい努力をしてきたのだろう
皆が輝きを放っていた

その選手たちのプレーに熱狂する観客
一心不乱に声を送り
体をゆすり
時に歓喜し時に罵声を浴びせる

純粋にプレーをゲームを楽しんでいる
だけでなく
一糸乱れず応援歌を歌い
一糸乱れず声援を投げかける

統制のとれた熱狂
そんな言葉が相応しいと思ったけど
そんなことはどうでもよくて
自分ではなく他人に熱狂する姿が怖かった

彼らも本当は自分に熱狂したいんじゃないのだろうか
僕は自分に熱狂したい
ピッチで躍動する選手たちのようにはなれないけど
ささやかな躍動かもしれないけど自分に熱狂したい

他人を励まし応援することはとても素敵なことだ
だけど熱狂は僕だけのものだから
僕は僕自身のために
熱狂したい

ささやかな自分でしかないけれど
自分がすること
できることに
熱狂できる僕でありたい

 

楽しみ


いつも思うんだよね
こうしておけばよかった
ああしておけばよかった
後悔ばっかりしてる

今さら考えたってしょうがないのに
これからどうするかを考えればいいのに
なんでそれができないんだろう
もしかしたら同じ過ちを繰り返しているのだろうか

そうであれば
僕は後悔ではなく
反省をしなければならない
そして改善しなければならない

そうしてないから
こうしておけばよかった
ああしておけばよかった
同じこと繰り返してるんじゃないのだろうか

全てには原因があり
科学的な理由がある
だから僕らは成長できる
生きていける

勉強も仕事も遊びも普段の生活も全て一緒
思い通りにいかなかったら
そこには原因がある
必ず科学的な理由がある

だから僕らは
後悔ではなく
反省して
改善しなければならない

そうすれば
この次は思い通りになる
それを努力という
簡単なことだね

小学校で習ったこと
子供達に偉そうに教えてきたこと
僕自身が未だできてない
まだまだ成長できるってこと

楽しみが一つ増えた
さあ明日からまた新しい人生を生きていこう
それができるのが僕や僕らの特権さ
最高じゃないか

 

幸せの発明


朝起きて
一杯のコーヒを淹れてたら
なんか幸せな気分になってきて
なんでだろう
そう思ったら
この香り
この香りがそう思わせていた

この乾燥された黒い豆
それが砕かれ粉になり
芳醇な香りを漂わせる
僕らを安心させてくれる
僕らに幸せを感じさせてくれる
彼らはいつから存在しているのだろう
いつから僕らに幸せを与えてくれているのだろう

口に含むと
その香りは鼻を経由して頭の中いっぱいに広がり
胃や腸がその癒しを求め始める
それに応えるかのように
口に含んだコーヒーを流し込むと
不思議な
安堵感が身体中に広がる

思えば
このコーヒーを見つけたのは誰なのだろう
一体いつから僕らはこうやって飲んでいるのだろう
真っ黒な液体
とても健康的とは思えないこの液体
発明した人は
新たな自然を作りだした

そう自然に存在するものを
我々と融合させるそんな仕事
そんな素晴らしい仕事を成し遂げられる幸せ
この世界に広がる自然
まだまだ我々は知り得ていない
まだまだ我々が取り込むものがあるはずだ
自然との融合

それが発明
発見ではなく発明
僕らはそんな仕事を成し遂げなければならない
ちっぽけでいい
ノーベル賞なんていらない
人を幸せにする
そんな発明

それが僕らが目指す道
それが僕らが残すもの
それが僕らが生きた意味
それが皆への道導
それが僕らのこの世の役目
だから人生は
素晴らしい