生きる


ふたりでボートに乗った
とても静かな湖
季節はずれの湖
 
ふたりでボートを漕いだ
遠く遠くどこまでも
僕らはどこに行くのだろう
 
ふたりはボートを降りた
深く深く湖の底まで潜る
そこでふたりはキスをした
 
最後のキス
息が続くかぎりキスをした
 
ふたりは横たわる
手をとりあい
抱きしめあい
 
いつまでもこのまま
願いながら目を閉じた
 
僕らは湖となり土となる
そして魚となる
 
その魚を食べ
人は生きていく