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猫の一生


猫がいる
野良猫だ

家もなく
ただただ ぶらつく

雨に濡れ
虫に喰われ

誰からも 必要とされず
ただただ ぶらつく

近所の子供が近づくと
汚いと 親が止める

誰かがミルクをあげようとすると
他の野良猫に飲まれてしまう

猫は誰からも必要とされていない
猫は一人で生きていくこともできない

そんな猫が恋をした
猫にではない 人にだ

その人は 猫をきれいに洗い
猫だけにミルクを飲ませてくれた

一緒に布団に入り
温かなぬくもりの中 まどろむことができた

でもその人はいなくなってしまった
猫はまた一人になった

誰からも 必要とされず
ただただ ぶらつく

家もなく
ただただ ぶらつく

なんであの人はいなくなってしまったのだろう
あるとき猫は思った

なんで僕を置いて行ってしまったのだろう
猫は考えた

だったら僕も一緒に行けばいいんだ
猫は気づいた

猫は行くことにした
あの人の元へ

そのあと猫がどうなったかは知らない
誰もそんな猫がいたことすら知らない

そんな猫は幸せだったのか?
あの人と会って幸せだったのか?

誰にもわからない
だから僕らは生きている
僕らはただただ生きている

ただただ ぶらつき
生きている