自転車に乗って


僕はきみが好きで
きみと少しでも長く一緒にいたくて
きみと家が近くて
帰り道が同じであるというだけで
一緒に帰ることができて
嬉しくて どきどきして
でもそんなこと少しも表に出さず
ただの帰り道

いつものことで
ふつうのことで
緊張しながら装って
このまま時が止まればいい
このまま時がつづけばいい
そんなことを考えながら
有頂天でありながら少しも表に出さず
ただの帰り道

自転車の後ろに乗りなよ
僕につかまって
できればずっと離さないで
だってこれは二人だけの時間
ふたりだけのサイクリングだから
どこまで行こうか
僕にとってはきみとのデート
ふたりだけのサイクリング

駅を出て
橋を渡り
川沿いに土手を走る
月の明かりが辺りを照らす
川向こうの山が江ノ島みたいだ
ちょっと海の匂いがしないかい
どこまで行こうか
ふたりだけのサイクリング

僕はきみが好きで
きみと少しでも長く一緒にいたくて
きみと家が近くて
帰り道が同じであるというだけで
僕らはこの時だけ一緒で
僕の心はときめいて
僕は一生忘れない
ただの帰り道 ふたりだけのサイクリング