枇杷


お弁当に
枇杷がひとつ入っていた

薄い皮をむくたび
優しく青々とした匂いがした
僕を安心させる
あの香り

皮をむき終わると
大事に枇杷にかじりつき
その甘さをかみしめる

枇杷には大きな大きな種がある
もっと小さければいいのに
もっと実があればいいのに
いつもそう思っていた

枇杷の皮は薄く
種はとてもとても大きい
その間に
優しい青々とした実

枇杷は僕を包み込み
大きな大きな種にしてくれた
僕は薄い皮と甘い実に守られた
大きな大きな種だった
青々とした枇杷の種
それが僕