ただいま


ある晴れた日
一匹の狐と出会った
狐はぼくを森の中へと誘った
森の中にはトンネルがあり
狐はそこに入っていった

つられてそこに入ると
次第に辺りが明るくなり
光に包まれた空間があった
そこでは祭りが開かれていた
狐だけでなく人間やたくさんの動物たちもいた

ぼくと同じくらいの女の子がいた
彼女はぼくの手を取り
ようこそ
と言った
そして
踊りましょうと
ぼくを連れ立った

僕は彼女に手を取られ
ぎこちないながらも
一生懸命に踊った
それをみた周りの狐や人間や他の動物たちは
楽しそうに楽しそうに
笑った
その姿を見た僕も
なんだか幸せになり
楽しくて楽しくて
一緒に笑った

目がさめると
辺り一面 真っ暗で
洞窟の奥に一筋の光が差し込んでいるのが見えた
どうやら夜があけたらしい
まわりにはもう誰もいなかった

僕は家に帰ったがそこにもう僕の家はなく
見たこともない新しい家があり
そこには違う家族が住んでいた
恐る恐るドアを開けて中に入ると
昨日の彼女がいた
彼女は言った
お帰りなさい

僕はなぜだかわからないけど
こう言っていた

ただいま