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大切な話


僕は見てしまった
君が僕の友人と
手をつないで帰っていくところを

君と僕とは家が近くて
ただそれだけの理由で
いつも一緒に帰っていた

君と僕とはそれだけの関係で
それなのに僕は得意げで
嬉しくて仕方がなかった

僕はそれがいつものことで
いつままでも続くと思って
日常だと勝手に思っていた

あの日
僕が先に帰ったあの日
君が心配で
君が帰ってくるのを
駅で待ってたら

君は
見たことのない顔で
まったく自然でない
いつもの君じゃない
そんな表情で
僕の友だちと
手をつないで現れた

間抜けな僕は
二人の前に顔を出し
どうしたの
なんて
バカなセリフを吐いて
まったく事情を理解せず
バカな顔して
一緒に帰ろうと
言っていた

二人は困った顔していたけど
三人で帰ることになり
そんな気まずさに
僕は気づきもせず
いつものように
話しては
笑っては
じゃあまた明日と
別れた

二人が付き合ってると
知ったのはその後で
僕は間抜けでとんまで
アホでバカでどうしょうもなくて
そんな自分が嫌でしょうがなかったけど
どうしようもなくて

僕は人を好きになり
その人は僕を好きではなくて
僕の一方的な片思いで
よくある話で
よくある話だけど
僕は彼女を好きで
彼女を愛していたけど
僕はひとりだった

ただそれだけ
それだけの話
よくある話
だけど
大切な話