綿菓子


目がさめると
僕は羊になっていて
メエメエと
ただ泣くだけで
惨めだった

僕は手足を縛られ
毛をむしり取られ
丸裸にされてしまった
なんでそんなことするの
聞いたら
おしゃれのため
そう言われた

僕はまた目がさめて
夢だったのかと
安心したら
枕の横に
真っ白な
セーターがあった

その隣には靴下があって
ああそうか
今日はクリスマスか
そんなことを思ってみたら
あの羊にとっても
クリスマスなんだ
と思って
外を見た

外は雪が降っていて
それは
あの羊の綿毛のようで
たぶんそれは事実で
綿毛が街を白く染め上げて
僕らを温めてくれていた

あの羊は誰なんだろう
思ったけど
わかるわけなくて
そう思ったら
なんだか楽しくなってきて
僕は真っ白な
本当に真っ白な
セーターを着て
真っ白な
本当に真っ白な
綿毛が降り注ぐ
外に飛び出したら
その綿毛は
甘い
本当に甘い
綿菓子で
口に含んだら
すぐに溶けて
僕は
何かを
思い出して

ただ
立ち尽くし
泣きながら
それでも
笑いながら
僕は
空を見ていた