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ブランド豚


僕は一匹の豚だった
生まれたての僕は
母豚のおっぱいを
一生懸命飲んで
横には兄弟だろうか
全部で5匹くらいいて
周りに目をやると
人間が僕らをみつめていて
笑っていて
かわいいとか
なんとか言っていて
元気に育てよ
そんな声も聞こえていた

人間は僕らを大切に育て
寝床はいつもきれいで
食べ物も栄養満点で
いろいろなものが入っていて
とても体にいいようで
人間は
毎日毎日
暑い日も寒い日も
一生懸命働いて
僕らの健康を
たいそう気遣って
来る日も来る日も
頑張って働いていた

どうやら
僕らはブランド豚らしい
今日テレビカメラが
僕らを写していて
いつも一生懸命働いてる人間が
インタビューに答えて
美味しいお肉をみんなに届けたい
だから頑張る
みたいなことを
緊張した面持ちで
喋っていた

そうなんだ
僕らは優秀な豚なんだ
選ばれた豚なんだ
なんだか
誇らしい気分で
ある日
部屋の外に出され
車で別の家に向かったけど
人間は誇らしげで
笑いながら
とても優しい目で
僕らのことを見送っていて
僕も誇らしくて
嬉しかった

新しい家に着き
部屋に入ると
そこは真っ暗で
どんよりしていて
なんだか空気が
今までと違っていて
おかしいな
と思ったら
あっという間に
僕は血まみれになっていて
僕は
モノになっていた
ブランドモノ

目が覚めると
僕はベッドにいて
自分の姿を確認したら
人間だった
夢だった
そう思ったのだけれど
夢の中の豚の一生は
僕の今までの人生と
驚くほどよく似ていて
あーそうか
いっしょなんだ
そんなことに気づいて

僕らは
殺されたり
食べられたり
しないだけで
殺されて

食べられる
そのためだけに
生まれてきた
あの豚たちと
一緒なんだ

そんなふうに
思ったら
なんか
すべてが
わかったような
気がして
笑っちゃった
大きな声で
笑っちゃった
僕は
誰なんだい