彼ら


そこに滝があった
青々とした空気の中
水が落下していく
飛び散る水滴
その水滴は空気と交わり
僕らのところまで届く
生き返るような瞬間

これはなんだろう
香りもない
単なる空気でもない
水滴でもない
僕らのところに届いた彼らは
僕らの体に染み渡り
何か深いところで生き返る

大昔の記憶を呼び覚ますかのように
彼らは僕らが何であるかを
伝えようとでもしているかのように
僕らの何かを覚醒させる
僕らは何かを思い出す
生まれた時の記憶
そして生まれる前の記憶

滝から落ちる水は
いったいどこからやってきたのだろう
それと同じ
僕らはどこからやってきたのだろう
僕らはどこへ行くのだろう
滝の水はどこへ行くのだろう
またいつか滝から落ちるために
旅を始めるのだろうか

だから
僕らも旅を始めよう
ちょうど時間だ
僕らは旅に出なければならない
今度は僕らの番だ
みんなに恩返ししなきゃ
さあ行くよ
出発だ