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僕の役目


僕は震えていた
寒くなんかない
心が震えていた

絶望でもない
希望でもない
ただただ震えていた

僕の手は冷たかった
誰かに温めて欲しかった
違う
誰かの暖かさを確認したかった
僕にはもうなかったから

誰か
僕の手を握って
それだけでいいんだ
僕が震えていること
わかってくれるだけで

そんな時
あの人はいつも僕のそばにいてくれた
僕の手を握りしめてくれた
僕の心を温めてくれた
僕はそれが当たり前だと思っていた

さよなら
僕の前からあの人はいなくなった
あの人はさよならも言わなかった
ただただ優しい目で
いつものように僕を見ていた

僕は思った
あの人がいなくなって
誰が僕を温めてくれるのかと
でも違うんだ
僕はようやく気づいたんだ

僕の番なんだ
震えている誰か
僕の大好きなあの子
そう
僕が温めてあげる番なんだ

僕は震えている暇なんてないんだ
だってあの子が待っているんだもの
早くしなきゃ
待ってて
今温めてあげるからね

僕の全てを
君にあげるから
それが
僕の
役目