蜂の気持ち


大きな大きな
とても大きな蜂を見た

スズメバチだろうか
ベランダの植木のあたりを飛んでいた

あの蜂は
どこから来てどこに帰るのだろうか

なぜうちに来たのだろうか
花のいい匂いがしたからだろうか

蜂はあっという間に何処かに行ってしまった
女王さまの元へ帰ったのかもしれない

蜂は僕のことを見てどう思ったのだろう
暗い家の中で何するわけでもなく

外を空を見ていた僕のことを
もしかして僕が怖かったのかもしれない

僕らは全て僕らを起点に物事を考える
僕らは全て僕らを中心に回っていると思っている

当たり前かもしれないけど
当たり前じゃない

全ては多面的だ
僕らは一つじゃないから

だからたまには考えよう
あの蜂の立場になって考えてみよう

お腹が空いてしょうがなかったのかもしれない
とてもいい天気に誘われて散歩していただけかもしれない
女王さまと喧嘩して巣を飛び出して来たのかもしれない
子供を育てるために餌を見つけに来たのかもしれない
みんなとはぐれて泣きながら飛び続けていたのかもしれない
誰かを探していたのかもしれない
大切な誰かを

あの蜂は僕ら家族を見てどう思ったのだろうか
怖がらずに今度会ったら聞いてみよう

蜂の立場に立って
僕の心に

聞いてみよう