水族館


水族館で魚を見ていたら
色々な魚たちが
僕の方を睨みながら
悠然と
しかし戸惑っているかのように
水槽の中をさまよっていた

彼らは僕をどのように見ているのだろうか
分厚い水槽越しに
歪んだ僕の顔はどのように見えているのだろうか
不思議そうに覗き込む
得体の知れない僕は
彼らにとって何者なのだろうか

魚たちは
口をパクパクさせながら
降ってくる餌を
上手に食べていた
何もしないで
気楽なもんだ

そう思ったけど
よく考えたら
僕も同じ
何不自由なく
何もしていないのに
食事を与えられている

僕は僕の意思で仕事をし
報酬を得て
自分の意思で食べたいものを食べている
そう思っているとしたら
それは間違い
僕は何もしていない

僕は魚を捕まえてもいないし
牛や豚を育ててもいない
狩りをしているわけでもない
米や作物も育てていない
何もしていない
大切なことなのに

僕らはスーパーで売っている
形の整えられた食べ物を
何も考えないで
何もしてないで
偉そうに
食べているだけ

僕らも水槽の中にいるのかも知れない
口をパクパクさせて
何も考えないで
決められた道を行ったり来たり
餌を与えられて
生かされてる

魚は僕を見て
何も思わなかっただろう
同じ
ただ生きているだけ
生かされているだけ
それを知っているから

どうする
僕はどうする
何も動物を捕まえたり
米や野菜を育てろということではない
意思を持って
自分の意思で全てを捕まえること

それだけ
ただそれだけだから
僕らは自分の意思で自分を生かさなければならない
それが生きるということ
それが自然になることだから
さあ水槽を出よう

 

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