不思議な景色


その美術館は山の中腹にあった
うっそうと生い茂る草むらを抜けると
かつては瀟洒だったと思わせる
その洋館はあった

扉を開けると
受付の女性が一人
お客なんてこないのだろう
驚いた顔で僕を見ていた

二階に上がると
たくさんの版画が飾られていた
有名な作家のものや
地元の絵描きによるもの

そこは私設の美術館だった
窓からはその町が一望でき
入り江となった湾が見渡せる
昔から続く素晴らしい景色

そこに見える湾には
たくさんの漁船が見えた
人々の生活があった
生きている景色があった

湾の向こう側に
変わった丸い建物が何個か並んでいる
それが何かすぐにわかった
この美術館が建てられた時にはあったのだろうか

素晴らしい景色
人々の生活
生きている
そしてそれらを終わらす時限爆弾

生と死が隣り合っている
いや混在している
気づいているのか
気づいていないふりをしているのか

不思議な景色がそこにはあった

 

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