歌い踊れ


テレビで歌い踊る
彼はスター
カッコよくて
好きなように歌って
好きなように踊って
僕らを楽しませてくれる

いいな
あんな風になりたいな
歌が上手くて
踊りも上手で
みんなから好かれて
みんなから憧れて

思ったことを
思ったように
歌い
踊れる彼
楽しいだろうな
幸せだろうな

そう思っていたけど
本当は
思ったことを
思ったように
歌い踊っている
わけではないことを知った

彼は研究していた
歌を
踊りを
そして自分自身を
最高の自分になれるように
皆を楽しませることができるように

何よりも自分を楽しませることができるように
研究して
練習して
一生懸命
そんな自分になっている
そんなことを知った

そんなことを知った僕は
思ったことを
思ったように
していると思っていたことが恥ずかしくなって
なんか申し訳なくなって
自分を恥じたけど

思ったことを
思ったように
しているように見せていた彼がすごいだけで
僕は何も悪くなくて
彼がすごいだけで
自分は何もない訳で

それを恥じるべきだとわかって
僕は
歌も上手くないし
踊りなんてとんでもないし
だけど
何かできるはずだから

それをしないことを恥じるべきで
できることをするべきで
だから生きているわけで
僕がここにいるわけで
それを教えてくれた彼に感謝して
詩を書くことにしたんだ