蜘蛛の巣


蜘蛛の糸
糸をつたって
地獄から天国に
這い登ろうとした
そんな男の物語

なぜ蜘蛛の糸なのだろう
蜘蛛を助けたことがあったから
らしいけど
蜘蛛の糸は助けるためではなく
獲物を捕まえるためにある

そんな蜘蛛の糸で作られた
蜘蛛の巣は
とても綺麗で
風に揺られて
まるで綿菓子のようで

僕は捕まって見たい
そんなことを思いながら
眺めていたら
蜘蛛の巣に
捕まっている僕がいた

蜘蛛の巣は
まるでハンモックのようで
風に揺られて
ユラユラユラリ
青い空が僕のものになったかのようだった

あっという間に
蜘蛛がやってきた訳だけど
捕まっているのが
僕だったので
怪訝な顔をしてどこかに行ってしまった

そんな訳で
この蜘蛛の巣は僕のものになったわけで
ここに吹いている風も
一面に広がる青空も
僕のものになったわけで

ああ気持ちいいな
そんな風に思っていたら
この巣の持ち主だった
あの蜘蛛がまたやってきて
僕を蹴落とした

僕は地面に叩きつけられて
また空を見ていたら
光り輝く蜘蛛の巣が見えて
美しいな
そんな風に思って

僕も何か作りたいな
そう思って
生きるために作られたものは
美しいんだな
そんなことを知って
そんな僕になりたいと思った