白いスニーカー


雨の中
緑の木々の中
歩いていたら
自分の足元
白いスニーカー
規則正しく
せかせかと
右 左 右 左 右
前へ前へと進む
白い軌跡
そんな姿が気になった

雨に濡れた歩道
ペチャペチャと
音を立てながら進む
白いスニーカー
なんか気になって
ずっと見ていたら
自分のものではなくなったような気がして
このままどこかに
いってしまうような気がして
僕自身が
僕自身ではなくなったような気がして

立ち止まって見たけど
白いスニーカーは
先へ先へと
歩き出し
僕を置いていってしまった
待ってよ
僕を置いていかないでよ
そう思って口に出して見たけど
その声は誰にも聞こえなくなっていて
僕はどこにもいなくなっていて
さっきまで僕自身だった僕を見送っていた