キリンの教え


キリン
キリンの首はなぜ長いのだろう
キリンはなぜ黄色いのだろう
淡い黄色
ホットケーキみたい
つぶらな瞳
長いベロ
どうしてそんな姿をしているのだろう

キリン
キリンは僕らを見てどう思っているのだろう
ちっちゃくて二本足で歩く
蹴れば折れそうな体躯
変な洋服を着せられて
いつも何か重いものを持って
ため息つきながら俯いている
どうしてそんなに疲れているのだろうって

キリンは僕らに見られているけど
そう思っているのは僕らだけかもしれない
キリンが僕らを見ている
僕らが見られている
そして観察されている
だってキリンはキリンだから
キリンは自由だ
僕らはどうだろうか

僕らは僕らの意思でおしゃれをして
好みの服を着て
カバンを持って
かっこいい髪型に決めて
お化粧して
楽しくおしゃべりしたり
美味しいもの食べたり
僕らだって自由だ

そんな自由ならいらないね
キリンが
あのつぶらな瞳で言う
決められた自由
そんなの自由じゃないね
自由とはもっと自然なもの
動物園にいる僕らキリンは自由じゃない
でも社会で生きる君らはもっと自由じゃない

自由とは自然でいること
動物園にいる僕らと
社会の檻の中で暮らす君らは
なんら変わらない
自由じゃない
それどころか
自由を装っている君らの方が不自由だ
不自然だ

キリンはそういうと
厩舎の奥へと消えて言った
僕らが自由と思っていることは
自由ではないのだろうか
キリンに聞いて見たかったけど
僕らの自由は本当の自由ではないかもしれないけど
それがわかってればいいじゃないか
これも悪くないさ

そう思った