トンボ


山道を車で走っていると
霧が出てきて
そのうち真っ白になって
そのまま吸い込まれそうになって
そう思ったけど
白いセンターラインを見ながら
慎重に走った

やがて霧の向こうに
何かが見えてきて
やがてそれは湖だとわかって
そのまま車で走っていると
湖の上にも霧がかかっているのだけど
その上には明るい雲が輝いていて
その輝きは湖に反射して辺り一面が輝いていた

天国
もちろん行ったことはないけど
こんなところなのかな
こんな風景なのかな
そんなことを思ったけど
そんこと思ってもどうなるわけでもなくて
先を急ぐことにした

だけど
僕には急ぐ先もないことに気づいて
湖畔に車を止めて
しばらく湖を見ていたら
つがいのトンボがやってきて
楽しそうにランデブー
そんな感じでダンスしていた

急ぐ先もないけど
また車に乗り湖畔を走り出したら
先ほどのつがいのトンボが飛んできて
フロントガラスにぶつかった
ベチャって
あのつがいのトンボは
どこかにいってしまった

幸せだったのかな
そう思ったけど
そうかここは天国なんだ
そんなことに気がついて
それに気がついたら
僕は誰なんだろう
そんなことにも気がついてしまった