丘陵


目の前に丘陵が広がっていた
何もない
あるのは緑色の絨毯
ビロードのよう
そんな布に包まれた丘陵が輝いている

斜面に鹿がいた
草を食べている
その鹿は
やはりビロードの上で
丘陵の一部となっていた

丘陵は空と相まって
その場所の風景を作っていた
雨が降ってきて
風も吹いて来たけど
同じくその丘陵は自然だった

僕もあそこに行きたい
あのビロードを踏みしめたい
僕にとってはレッドカーペットかもしれない
晴れの日の舞台
それがあの丘陵

いつか僕もあの丘陵に見合う
あのビロードに包まれることができるような
そんな人になりたい
自然の一部に自然となれる
そんな美しい人になりたい