急ぐ


朝起きると
なんだか知らないけど

急ぐ
とにかく急ぐ

早く早く
急げ

ご飯を食べ
歯を磨き
トイレに入り
髪を直し
服を着替えて
出かけていく

外に出ても
急ぐ

早足で
駅に向かう

ホームで
電車を待つ

座りたいな
座れるかな

もっと早く家を出れば
楽に座れたかもしれない

電車のドアが開く
席取り競争

やった座れた
なんかホッとして本を開く

でもすぐに閉じて
何やら考える

そこで思う
僕は座りたいのかな

なんで
僕は急いでいるのだろう

そんなに座ることが大事なの
座ってどうするの

次の日の朝
僕は座れたけど座らなかった

立って見た
そうしたらそれはそれで悪くなかった

外の景色も良く見えるし
本だって読める

そんなに混んでいない電車だから
かもしれない

でも座る理由なんてない
そう思った

僕は毎日急いでいる
何をするのも急いでいる

急ぐ理由なんてない
そんなことも気づかずに

ただただ急いでいる

それに気づいた