車窓の景色


新幹線に乗っていたら
まわりの景色が素晴らしくて
見とれていたら
その見とれている僕を
見ている僕がいて
しかも新幹線の外から
空の上の方から
見ている僕がいて

見られている僕は
全然気が付かなかったのだけれど
見ている僕は
見られている僕が寂しそうなことに気づいて
どうしたのかな
そう思ったら
僕は懐かしい景色を見ていることに気づいて
あの日のことを思い出していることに気づいた

あの日
僕らは幸せだった
もう昔のこと
単なる思い出
それでも
僕にとっては
貴重な日々
あの場所に
あの山の向こうに
君がいた
僕と一緒に
君がいた

僕は新幹線の窓から
まわりの景色を見ていたけど
見ていたのは景色ではなかった
寂しそうな僕は
それに気づいたから
わかったから
喜ぶことにして
笑うことにして

それの上から
もう一度僕を見ようとしたら
もう僕はどこにもいなくて
どこにいったのだろう
あたりを探してみたら
いた
ここにいいた
だから僕は
もういなくなっていた