ビール

 

仕事を終えて

家に帰り

 

冷えたグラスに

ビールを注ぎ

 

椅子に座り

ナッツを頬張り

 

手に持ったビールを

灯りに透かし

 

きれいな泡

琥珀色の中を泳ぐ気泡

 

そんな姿を確かめて

自分の姿を確かめて

 

グラスを口に運び

ビールを喉に流し込む

 

その瞬間

僕は生きていた

 

生きていることを発見した

それじゃ

 

それまでは死んでたのかい?

そうかも

 

そんなことを思いながら

僕はこの瞬間のために生きている

 

それだけは間違いなくて

それだけは本当のことで

 

じゃあずっとこうしていればいいのに

そうも思ったけど

 

この時間があるから

この時間じゃないときもあって

 

死んでるときもあるから

生きているときもあって

 

だからいまの僕があって

ビールを飲んでいるのだから

 

それでいいじゃないか

そう思いながら

 

僕はビールを飲むために生きているんだ

そんな僕が僕だった