薪
焚き火をしようと思って
薪を割っていた
ちょうど良さそうな木を探して
ナタで思い切りたたく
ひとつふたつ
木は薪になる
そんなにたくさん必要ないのに
一心不乱に薪を割る
木の年輪が見える
年の数だけ増えるという
僕にも年輪は刻まれているのだろうか
薪の切れ端が頬に飛んだ
かすっただけだけど
頬に血がつたった
この皮にも年輪が
幾層にも積み重なっているのだろうか
面の皮が厚い
年輪の積み重なったことを言うのだろうか
年を取り
鈍感になりやがて血も出なくなる
巻きを火に焼べる
何もなかった薪から
大きな炎が立ちのぼり
その炎は空に向かい
やがて一筋の煙となり
闇夜と一体となる
僕も何時かこうなる
そう思いながらじっと炎を見続けた