わんわん

 

犬が僕を見るんだ

 

そんな目で見ないでよ

僕は思う

そして口に出していってみる

 

犬は僕を見つめたまま

 

もうやめてよ

僕を見つめないでよ

僕は飼い主でもなんでもないんだ

 

犬は笑ってる

 

そんなはずない

犬が笑うなんてない

僕がそう見えているだけだ

 

犬は泣いている

 

なぜ

泣くんじゃなくて鳴くんだろ

ワンワンって

 

僕は犬だった

 

そうだ

思い出した

僕は僕だったんだ

 

僕は泣いていた

見つめていた

助けてほしかった

 

僕は犬だった