彼女


電車が揺れる
僕は君に手を差し出す
彼女は僕の手をつかむ

おかしいねって 彼女は笑う
どうしてつかんでくれないの?

僕は手を差し出した
彼女は僕の手をつかんだ
それでいいじゃないか

不満そうに 彼女は続ける
私が手をつかむとはかぎらないじゃない

僕は困惑する
そんな大した揺れでもないのに
別にいいじゃないか

彼女は笑う
しょうがない 私がつかんであげるわ
ずっとね

そう言って彼女は僕の手を握りしめてくれた