弱虫


トカゲ
僕はトカゲ

つかまると しっぽを切って
慌てて逃げ出す さっさと逃げ出す

いつも おびえて
弱々しくて 本当に弱くて

つかまると 自分の体の一部を切って
自分だけ助かれと 願っている

トカゲ
僕はトカゲ

そんな僕が
弱いあの子を見てしまった

見てみないふり
しようと思って 心に決めた
なぜかできずに とびこんだ

あの子を 助け られるわけない
迷惑だ
僕には関係ないことだ

なぜだか体が動いてた
あの子のもとにかけつけて
しっぽを切って逃げればいい

あの子はよかった 助かった
僕には上等 よくやった
僕のしっぽは 捕まった

だけど しっぽだけじゃない
僕の体も 捕まった
そのまま食われた 僕がいた

あの子は 顔をそむけては
こわかったと 震えてる
助かったことも気づいてない

トカゲ
僕はトカゲ

弱虫なトカゲ
人を助けるなんてできっこない

だから このありさま
かっこ悪いぜ その通り

これが僕の人生さ
かっこ悪いぜ その通り

だけど どこかで拍手のおと
どこからか 聞こえてきた

みんなに 見えてはいないはず
おかしいなと思ったけど

ようやく僕にはわかったよ
僕は自分に認められ 僕自身に褒められた

最後にわかった ありがとう
これが生きるということか