犬が僕を見ている
首輪のない
野良犬

犬が僕の後をついてくる
薄汚れた
ざらついた犬

振り向くと
犬はどこかに行ってしまった
変な気持ち

さびしい
どうして
おかしい

前を向くと
犬がいた
僕を見ていた
ほっとした
嬉しくて
バカだなと思った

前に向かって歩き出すと
犬も歩き出した
尻尾は垂れたまま

僕はなにも言わず
なにも見ず
ポケットに手を突っ込んで

いつものように歩く
行くところなんてない
一緒だ

思わず笑い出し
犬に同意を求めようと
振り向くと

子供が犬に首輪をつけて
一緒に帰って行った
尻尾を振って