裸の僕


今日
デパートの
エスカレーターに
乗っていたら
横に
大きな鏡があって
そこには
猫背の
さえない男の
姿があった

それは
僕で
恥ずかしくて
とにかく恥ずかしくて
どこかに
消えて
なくなりたかった
だって
さえない
本当に
さえない
男だったから

家に帰り
鏡を見直すと
昼間見た
さえない男よりは
ましで
自分で
自分を
慰めているのが
わかった

こんな僕
かっこもよくないし
さえない姿
何着たって一緒
それなのに
いいもの欲しがって
こだわってみたりして
バカみたい
そう思って
着ているものを
全部脱いで
裸になった

裸になった僕は
かっこいいかというと
かっこ悪くて
なんだ
いい服着てても
裸でも
変わらないじゃん
そう思ったら
やっぱり自分
自分が全て

そう思って
そうわかって
自分がかっこよくならなきゃ
どうしようもなくて
服なんて
どうでもよくて
おしゃれなんて
どうでもよくて
裸の
裸の自分が
やはり
一番
大切だということが
わかった

だから
僕は
これから
裸で
生きていくことにした
裸な僕
かっこよい僕
そうなれる僕
そこに向かう僕
裸の僕