僕はだれ


僕はカエルだった
ぴょんぴょん飛んでは
池に飛び込み
ハエや蚊を長い舌を伸ばしては食べ
ゲロゲロゲロと鳴いていた

生まれた時はオタマジャクシ
みんなと一緒だった
みんな同じ形をして真っ黒で
ただただ泳ぎ回っているだけ
ただただ

ある日仲間の一人に足が生えてきた
何だこれ気持ち悪い
皆で仲間ハズレにしたら
みんなにも生えてきた
もちろん僕にも

今度は手も生えてきた
そのうち真っ黒な体が
黄緑色になってきて
あーそうか僕らはカエルだったのか
そう気がついた

僕らはカエルらしく
大合唱
ゲロゲロゲロ
泣いて笑って喧嘩して
ど根性で生きていた

と思ったら目が覚めて
僕は僕で人間だった
夢が夢なのか今が夢なのか
よくわからなかったけど
もうそんなことはどうでもよくて

僕は僕が人間であることにいつ気づいたのだろう
そんなことを考えていた
僕は人間だから人間らしくしなきゃ
そうしてきたのだろうか
あのカエルたちのように

僕は僕らしくすればいいじゃないか
僕は人間だけど人間じゃないかもしれない
本当はカエルなのに人間のふりをしているのかもしれない
本当はゲロゲロゲロと鳴きたいのかもしれない
でも人間だから人間を装っているのかもしれない

僕らはいろんなことに気づいては
あーしなきゃこーしなきゃ
そうしてきたけど
本当に自分で考えてしているのだろうか
僕らはもっと考えるべきだ

僕や僕らがすべきこと
僕や僕らがしたいこと
人間のふりをしているだけじゃ
何も始まらない
一生が終わっちゃうよ

今からでも遅くはない
考えよう
すべきこと
したいこと
そして始めよう

それが僕が僕になることだから