風が吹いていた


風が強く吹いていたから
ああ気持ちいいな
そう思って
大きく手を広げて見たら
いつのまにか空にいた

ああ飛べたんだ
僕は飛ぶことができたんだ
知らなかったな
そう思ったら
早く気づけばよかったと後悔した

手を動かしたら
上下左右に自由自在
僕は空を自分のものとするかのように
飛ぶことができるというか
空と風と一体となっていることがわかった

ああ気持ちいいな
風が気持ちいと思ったのは
実はこういうことなんだな
そう思ったら
風が僕に吹く理由がわかった

空から地上を見て
僕がいたのはあそこらへんかな
そう思って見てみたら
僕がいた
楽しそうに笑っていた

なんだ楽しそうじゃん
よかったな
僕は安心して嬉しくて
涙が出てきたら
それは雨となって地上の僕に降り注いだ

地上の僕は傘もささずに雨に打たれ
なんだか知らないけど
清々しい気持ちになって
楽しいこともないのに笑っていたけど
楽しくなって笑っていた

ああ気持ちいいな
風って
雨って
もっと早く気がつけば
もっと早く幸せになったのにな

そう思った僕は
幸せだった