氷にお湯をかけたら
みるみるうちに
溶けていった
僕は見逃さなかった
溶けていく瞬間
氷はそれはそれは綺麗に輝いていたことを
本当なら時間をかけて
その美しさを
その輝きを見せつけたはず
その姿は自然の中で見ることができる
きらめき
溶けるその瞬間
溶け出した水は
川となり生命の源となる
その姿はさらに美しくきらめき出す
僕はそんなきらめきを
この手の中に作り出したくて
氷を溶かしていた
なぜか
そのきらめきを
僕自身のものにしたかったから
僕は知らなかった
そのきらめきは
自然にある以上すでに僕のものだと言うことを
誰も知らない
皆知らない
この美しさを素晴らしさを
バカな僕ら
僕らが作り出すもの
発明したもの
それは自然の焼直しに過ぎないのに
ノーベル賞
ばっかじゃないの
早く気づきなよ
僕らが発明だと思っているものは
自然の焼直しだと言うこと