その場所


写真をっとっていた
綺麗な景色
そのまま記録に残したい
家族に見せたい
自分がその場所にいたことを証明したい
そんなことを思いながら
行く場所行く場所の写真を撮っていた

だけど
僕は写真を撮るためにその場所に行くわけではなくて
その場所に行きたいから行くだけなのに
写真を撮るのが目的になっているようで
心がそっちに行ってしまっているようで
思い直して
写真を撮るのをやめた

そうしたら
その場所の景色が
なぜか自分のものになったような気がして
なぜか自分もその景色の一つになったような気がして
そういうことか
訪れるということは
それがわかった

その場所にいること
その場所を見ること
その場所と一つになること
それは写真を見るだけではなし得ないこと
そんなことに今頃気がついて
僕は
その場所で詩を書くことにした

何年か後に
その詩を見たら
思い出すだろう
その場所のこと
そして
その時の僕のことを
それが今の僕を作っていることを