その景色


不思議な景色だった

何も変わっていない
ように見えた

子供の頃に来た場所
山の中の大きな家

まわりには田畑
小川も流れている

年を取ったのは僕だけ
もう子供ではない

自然は年を取るのだろうか
僕らが気づかないだけ

大きな家では
多くの大人たちがいて

子供の僕は居場所がなくて
ずっと外で遊んでいた

その大きな家にもう住む人はいない
いなくなってしまった

その大きな家は
気づいているのだろうか

田畑や小川は
気づいているのだろうか

不思議な景色は
僕にとって不思議なだけでなく

彼ら景色にとっても
不思議なのかもしれない

僕らは景色の一部だから
一緒なのだから

これからも
その不思議を感じながら

時は過ぎ
不思議が不思議じゃない時が来るのかもしれない

そんな時
僕はまだ大人でいられるのだろうか

いまと同じように
不思議と感じるのだろうか

きっと違うと思う
不思議の側にいると思う

誰か気づいてくれるといい
そう思う