何もない世界


海が見たかった

何もしたくないし
何もない僕だから

広い広い
青い青い
どこまでも続く海

そんな海を見たくて
灯台のあるあの丘に行ってみた

そこにはただただ海があった

何もしたくないし
何もない僕は

広い広い
青い青い
深い深い

そんな海と一緒になりたくて
そんなことを願ったら

僕は海になって
空を見ていた

輝く太陽を見ていた
美しい世界を見ていた

何もしたくないし
何もない僕だけど

僕にはこの世界があった
そんなことに気づいて

目をつぶったら
目の前が真っ赤に輝いていて

目を開いたら
新しい世界が開けていた