月夜

 

綿あめが

 

溶け出した

 

引き裂かれたような

 

その雲は

 

夕焼けに

 

溶け出して

 

やがて

 

暗闇に包まれ

 

安堵の時を迎え

 

月明かりに

 

輝き出す

 

その下で

 

賑やかなランプの光

 

大勢の人

 

浴衣姿

 

甘い香り

 

香ばしい匂い

 

きらめく明かりのもと

 

いくつもぶら下がった

 

雲の破片

 

誰が入れたのか

 

ビニール袋

 

僕は手に取り

 

ピンク色のそれを引き裂き

 

月夜に投げ込んだ

 

やはり

 

それはあいつだった

 

喜び勇み

 

帰っていった

 

待ってよ

 

言ってみたがお構いなし

 

いつか

 

僕も

 

連れて行ってくれないか

 

そう思って

 

残された

 

破片

 

口に入れたら

 

僕は

 

月夜に照らし出された雲だった

 

そんな

 

夏の夜だった