吊橋

 

雨の中

橋を渡ったんだ

 

縄で編まれたその橋は

吊橋

 

キレイなとてもキレイな

清流

 

その橋の真中まで行くと

ふっと風が吹いた

 

足元を見ると

大きな隙間

 

キレイなとてもキレイな

ブルーの水

 

僕は吊橋から手を離し

ふっと滑り落ちた

 

不思議なことに

清流には落ちず

 

僕は吊橋をぐるりと一回転し

雨に濡れた吊橋を上から見ていた

 

僕は小刻みに揺れていて

おかしいな

 

そう思ったら

虫の背中に乗っていた

 

その虫のおしりは光っていて

誘導灯のようだった

 

ホタル?

僕はホタルに乗っている

 

そう思ったけれど

そうではなくて

 

僕は蛍になっていた

橋を渡る人を誘導する

 

こっちだよ

気をつけて

 

こっちだよ

こっちにおいで

 

僕は灯台になりたかった

人を誘う灯りになりたかった

 

僕はホタルになって

この橋で待っている

 

君が来るのを待っている