ステーキ

 

ステーキを食べていた

奮発したんだ

分厚いステーキ

 

大人なのに

前掛けなんかして

油が飛びまくって

 

ナイフで肉を切り刻み

美味しそうに頬張る

その口は油まみれ

 

その油を

血のような赤いワインで

ごくっと飲み干し

 

息をつくと

なぜだか

口元が笑っている

 

そんな僕は

綺麗な服を着て

着飾った彼女と一緒で

 

まわりの席にも似たような人ばかりで

ここはどこだっけ

忘れてしまったから

 

彼女に聞いたら

屠殺場よ

彼女がそう言ったから

 

僕は

僕らが残忍な殺し屋だったことに

気づいて

 

逃げなきゃ

早く逃げなきゃ

そう彼女に行ったら

 

彼女は

逃げるんじゃないの

追いかけるの

 

ずっと

どこまでも

追いかけるの

 

油まみれで

血まみれな

口を隠すために

 

塗られた

真っ赤な口紅が塗られた

その口で彼女は言った