蝉の幼虫

 

このあいだ

歩いていたら

足元

何かが動いていた

 

夜だったから

よくわからなかったんだけど

街灯の光

薄明かりの中に彼はいた

 

セミ

蝉の幼虫

道を横断しようとしていた

どこに向かっているのか

 

潰されちゃうよ

そう思ったから

木の枝で彼をつまんで

近くの木に持ってった

 

そしたら

彼は落ちちゃった

そしてまた

道を横断し始めた

 

そうか

行くところがあるんだ

邪魔してごめんね

でもそんなとこにいると潰されちゃう

 

そう思って

道の端っこにずらしてあげた

僕はそのまま家に帰ってしまったから

その後彼がどうなったかはしらない

 

潰されちゃったかもしれない

無事に木によじ登って

生まれ変わって

今ごろミーンミーンと鳴いてるかもしれない

 

一つ思ったのは

彼には行く場所があったってこと

向かう場所があったってこと

どこに向かってたんだろう

 

誰に教えてもらったんだろう

羨ましいな

そう思って

僕も向かうことにした