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白鳥


湖に白鳥がいた
きれいな湖
湖畔は雪で覆われている

白鳥は白く
湖や雪の透明な青さ
深い深い空の青さ

それらとあいまって
この世のすべてを知っている
そんな自信にあふれている佇まいだった

僕は白鳥に聞いてみた
どこから来たんだい
そしてどこに行くんだい

答えるわけもなく
僕の目をじっと見たあと
飛んで行ってしまった

飛んでいく白鳥を見ていたら
お前も来いよ
そんな顔で振り返る白鳥が見えた

無理だよ
僕は君みたいに飛べしない
君とは違うんだ

そう思ったら
僕は空にいた
あの白鳥の背中にいた

思ったより
白鳥は暖かくなく
体も薄汚れ傷ついていた

白鳥は渡り鳥だった
遠く遠くを旅して
ここに来ていた

これからも遠く遠くを旅していく
なんのため
僕は聞いてみた

白鳥は何も答えず
ただ飛んでいた
僕は恥ずかしくなった

おろしてくれないか
白鳥にそう言うと
もとの湖に降り立った

白鳥は
何事もなかったかのように
飛んで行ってしまった

僕らは旅の途中
みんな一緒
そんなふうに思い

どこに行こうかな
すべてに理由がある
そんなふうに思いながら

僕は来た道を戻った