ニワトリの涙


空を見ていたら
雲が弾けた

中から
ニワトリが現れて

コケコッコー
とは言わないで

僕をじっと見て
何処かへ言ってしまった

何かを探しているようだった
ひよこかもしれない

僕は思った
僕は卵料理が好きだけど

ニワトリはなんで
あんなに卵を生むことができるのだろう

そんなこと考えたことなくて
幼いころ見た夜店のひよこを思い出して

さっきのニワトリが探していたのは
あの子たちかもしれない

そんなことを思って
黄色い目玉焼きの黄身をつついたら

あのニワトリの涙が
空から雨になって降ってきて

大洪水になって
僕も目玉焼きも一緒に流されてしまって

いつの間にか
僕は晴れ渡った空の雲になっていた

 

こんな僕


昨日

あんなこと言わなければよかったな
なんであんなこと言っちゃったんだろ

もっと気の利いたこと
みんなを笑わせるようなこと

なんで言えなかったのかな
恥ずかしいよな

今朝起きて

こんな後悔
あんな後悔

でもそれが僕
そんなことしか言えないのが僕

気の利いた話
皆が大笑いするような話

できない僕

それが僕だから
それが僕なんだから

そんな僕
こんな僕

自分自身が愛してやらないでどうすんのさ
自分自信を褒めてやらないでどうすんのさ

僕を肯定する

だって僕は僕でしかないから
こんな僕でも僕だから

愛そう
恋しよう

そんな僕
こんな僕

まるごと愛してあげよう

だって僕だから
かけがえのない僕だから

僕は僕のものだから
僕だけのものだから

こんな僕も含めた僕だから
それが僕だから

僕は僕が大好きだ!
大きな声で言ってやる

 

この世界


ゴルフをしていたら
ボールを打とうとしていたら

蝶々がとまった
打とうとしていたボールにとまった

蝶々は
それはそれはキレイで

僕は見とれてしまっていたら
早く打てよ

そんなことを言われたので
僕は打つのをやめて

蝶々と一緒に
ゴルフ場をあとにした

蝶々は僕を背中に載せ
田んぼや川の上を飛びまわり

それはそれは
素晴らしい景色を僕に見せてくれた

僕が重かったからか
蝶々はだんだん疲れてきて

地面に降りてしまったら
ゴルフ帰りのクルマにひかれてしまって

辺り一面にきれいな色の粉が飛び散って
世界の色が変わってしまった

僕らがこれまで見てきた色は何だったのか
そんなことを思うほど

それはそれはこの世界はキレイで
とにかくキレイで

気がついたら
僕もその世界の一部になっていたから

嬉しくて
誇らしくて

声を上げて泣いちゃった
 

宝箱


昨日宝箱を買ったんだ
木でできた
きれいな模様で縁取られた
素敵な宝箱

何を入れようか迷ったけど
鍵を入れることにした
使われなくなった
いろんな鍵

昔住んでたアパート
昔乗っていたクルマ
昔乗っていた自転車
昔彼女と作った合鍵

どれも僕を
あたらしい世界に送り出し
そして迎えてくれた
僕の心をひらいてくれた

優しく受け止めてくれた
嬉しいときも
悲しいときも
いつも同じようにしてくれた

この宝者は
大切な宝物
いつまでも宝物
僕のこころを開く鍵

こんど君にも貸してあげる

 

朝日


朝日を浴びていると
神々しさを感じて

その光りに包まれて
僕は何か特別になったようで

全身を委ねて
そのまま溶け出してしまいたい

朝日はだれにも均等にやってくるけど
気づくか気づかないか

それは人それぞれで
もったいない

こんな大切な瞬間
なぜスマホなの

そう思うけど
それも人それぞれで

大切なものはみな違うから
朝日は均等なのかもしれない

そう思ったら
朝日って素晴らしいな

そんなこと思って
僕もそうなりたいな

そんなこと思って
そうか

それを教えてくれたのか
そんなことに気づいた

 

新しい季節


暖かくなると
寒かったあの日を忘れ

心地よい風に身をゆだね
こころに優しさと期待が入り込む

薄着になると
身体が軽快になるのと同じように

こころも軽快になり
なんだか知らないけど嬉しくなる

僕は外出するときは手ぶらだ
カバンを持つ手が煩わしい

たぶんわかっている
こころが身軽になりたいのだと

僕らは年々なにかを積みまして
いつの間にか重い荷物を背負っている

気づかない
気づいているのかもしれない

季節の変わり目
暖かい風を受け

その荷物を
ひとつふたつ

おろしてみないかい
きっと新しい季節が

僕の心にもやってくる
新しい花が咲くかもしれない

 


空を見ていたら

いつのまにか雲の上にいて
雲の中でバック転して

バック転できたのは生まれて初めてで
世の中が一回転して

こういうことだったのか
世の中がひっくり返ったような気がして

雲の上から飛び出したら
空に雷様がやってきて

ガラガラガシャーン
稲妻が鳴り響き

僕はサンダーボルトに乗って
地上に帰ったら

大好きなあの娘の脳天に突き刺さって
彼女のからだを貫いて

僕は彼女と一緒になって
得も言われぬ幸福感に包まれたけど

彼女は死んでしまって
僕は悲しくて泣いていたら

雨が降ってきて
僕と彼女のからだを川に流して

いつの間にか
僕と彼女は彼女か僕かわからなくなったけど

雨と涙と僕と彼女は
一つになって

天に登って雲となり
雷となりなり夜空をきらめかせた

そんな僕らは
幸せになりたくて

手を握りしめて
泣いていたら

大雨となって
地球が雫となって宇宙に消えていった