冷たい北風

身をかがめながら歩く

 

凧のように

この風に乗れたなら

 

そんなことを思って

コートを思い切って広げてみたら

 

僕は正月の凧のように

空に舞い上がった

 

空から見る景色は格別で

向かい風の必要性がわかって

 

考えようだよな

そう思って目の前を見ると

 

一本の糸が揺らめいていて

それは僕につながっていて

 

次の瞬間風に煽られた僕は

クルクルクルクル

 

地面に一直線

そう思ったら僕についた糸が引っ張られ

 

君に回収されていた

抱きかかえられた僕に君は

 

バカね

そういった

 

僕はただただ笑って

頷くだけだった

サンセットウエイ

 

テレビのCM

海沿いの道

一台の車が走る

 

中には二人

楽しそうに歌を歌い

ドライブ

 

素敵だな

羨ましいな

あのみちはどこの道だろう

 

そう思ったら

僕はそこにいて

僕の車を運転していた

 

僕はCMの二人と同じように

大声で歌いながら

ドライブ

 

でもなぜだか涙が出てきて

隣を見たら

君がいたから

 

ああそうか

これは嬉し涙だったんだ

そう思って助手席の彼女を見ると

 

そこには誰もいなかった

その道は

長崎の生月島サンセットウェイ

 

コーヒー

 

コーヒを飲んでたら

あたたかそうな湯気が出て

それを空に透かしてみたら

あの白い雲と合体して

そうかこの湯気は雲だったのか

そんな事に気づいて

幸せな休日の朝だった

 

コーヒーを飲み干したら

空になったはずのカップから

煙のような湯気が立ち上っていて

そうかそうか

あたたかさとはこういうことか

そんな事に気づいたから

僕の未来は青空のようだった

忘れる

 

お酒を飲んでいると

いろんな事を忘れられる

 

寝ることと一緒

忘れないと生きていけない

 

でも忘れられないこともある

でもいつの間にか忘れている

 

僕らは

忘れることで生きている

 

恥ずかしげもなく

生きている

 

だったら今日から日記を書こう

忘れても思い出せるように

 

でもそんなことも忘れてしまう

僕らは忘れることで成長してる

 

だから大丈夫

なんだって頑張れる

 

どうせ忘れちゃうんだ

やってみようぜ

 

そんな存在

そんな僕ら

不思議

 

イカってなんであんな形なの

とんがってて

足がいっぱいあって

墨を吐いて

透き通っていて

 

タコと似てるけどぜんぜん違う

味も違う

色も違う

形も違う

不思議な生き物

 

クラゲってキレイだよね

僕は知らなかった

こんなに美しいなんて

揺らめく彼らは

何を考えているのだろう

 

僕らはなんで僕らなのだろう

彼らとはぜんぜん違うけど

僕らは僕らなりに生きている

墨も吐かないし

ゆらゆら泳いだりもしない

 

僕らは僕らだからしょうがない

たぶん不思議な生き物

そう思われてる

だけどしょうがない

不思議だから不思議なんだ

 

僕らは僕らなりに生きていく

イカやタコやクラゲだって一緒

僕らはみんな生きている

あの童謡はそういうことか

今ごろわかったよ

 

だから僕らは生きていく

オケラだってアメンボだってみな同じ

何をするか何をなし得るか

もうしてるのにね

それが生きるってことだもの

灯台

 

灯台を見ていたら

何を見ているのかな

そう思ったから

僕も灯台になってみた

 

夜になると明かりをつけて

四方八方を照らしてみる

みんなの目印だ

安全に航海できるといいな

 

朝になると

白いその姿は

どこからも見ることができて

自分の居場所を知らしてくれる

 

そんな灯台になった僕は

あることに気がついた

灯台には何が見えているのか

そう思ったけど

 

灯台は何も見ていなくて

ただただ見られていた

そんな自分が自分であることを

知っていた

 

そうか

僕も灯台みたいになりたいな

誰かに見られる僕

誰かを安心させる僕

 

バカだな

灯台下暗しってこういうこと

僕は灯台なんだ

そんなことにも気づかないなんて

 

さあ時間だ

今日も働かなくちゃ

誰かが僕を知っている

誰かが僕を見ているから

貝殻

 

海水浴に来たんだ

僕は泳げないから

というか怖いから

波打ち際で遊んでた

 

大きな砂場

一生懸命砂を掘り

水を通して壊しては

何回も何回も

 

砂の中から貝殻

とてもきれいに光ってる

でも貝殻ってなに?

骨?それとも体の一部?

 

爪みたいなものかな

それとも髪の毛

自分の身を守るもの

僕の貝殻ってなんだろう

 

バリア

そんな便利なものがあればいい

心のバリア

それだけは持っている

 

僕はいつもバリアの中

貝殻に守られた貝と一緒

一生外に出ることはない

出る時は死んだとき

 

でも僕と貝は違う

だから外に出てみてもいい

いや

出ることができる

 

心のバリア

今度少しだけはずしてみよう

新しい世界

見えるかもしれない