雪の日


雪が降ってきた

僕はグラスを持って
そこに雪が積もるのを待った

僕は雪にシロップを落として
街灯の光で確かめた

黄色

匂いを嗅ぐと
レモンの香り

雪が降り続けている

最初からレモン味だったらいいのに
みんな喜ぶはず

時にはメロン味や
ストロベリー味

虹色があってもいい
どんな味なのか知らないけど

僕はグラスに積もった雪を
一気に口の中に流し込み

なぜだか知らないけど
泣いていた

その涙は
暖かくて

いい香りがした

 

大事なこと


夜明け前
駅に向かって歩いていたら

緑色の何かが横切った
また横切った

暗くて
よくわからない

日が差してきて
何かが見えた

お茶色の体
目の周りには白い縁取り

ウグイス
綺麗な小鳥

小さくて
か弱い体躯

右へ左へ
揺れながら

飛んで行ってしまった
夜が明けた

なんかいいもの見たような気がして
心が晴れやかになって

体が軽くなって
僕も飛べるような気がして

朝焼けの空を見つけて
大事なことを思い出した

 

飲む


急須にお湯を注ぎ込み
濃い緑茶を淹れる
胃袋に流し込む
目が覚め体が動き出す

煎った豆の匂いを嗅ぎながら
コーヒーメーカーのスイッチを入れる
いい香りが漂い
幸せな時間を感じる

喫茶店のゆったりとしたソファに身を委ね
一杯の紅茶を注文する
たっぷりのミルクを注ぎ込み
甘い甘い匂いに心と体が休まる

変な汗をかきながら
水を口に含み
大きくうがいをして
心と体のゴミを流し出す

とにかく喉が渇いて
渇いて渇いてしょうがなくて
ペットボトルの蓋を開け
口の中へと流し込む

お腹が空いて
心も疲れていて
何か食べたいけれど食欲がなくて
一杯のスープに温まる

ビールを飲む
ワインを飲む
日本酒を飲む
楽しいのか何なのかわからない

目が覚めて
お湯を沸かし一日が始まる

外を見ると雨が降っている
僕はそっと手を出し

雨水を手にとって
飲んで見る

今まで感じたことのない
そんな感覚

身体中にエネルギーが満ち溢れる
そんな感覚

雨に全身を委ねたい
そう思う

僕が毎日飲んで感じているもの
その正体がわかったような気がした
 

スーツ


いつも思う
スーツ
着心地が悪い

なぜもっと
楽に動きやすい格好じゃダメなのか
その方がきっと生産的なんじゃないか

お腹もきついし
ネクタイに首を絞められ
暑いし寒いし

一体誰が決めたんだろう
こんな格好
ジャージでいいじゃないか

そう想ったら
そんな会社もあった
普段はラフな格好で

働きやすい格好で
楽しそうに仕事をしている
そんな会社

もちろん人に会う時や
フォーマルな場ではスーツを着る
礼儀だから

そんな会社もいいかもね
そう思ったけれど
それは違う

会社に委ねる
そんなことではない
自分で考えること

いつもスーツ
それが当たり前だから
着心地が悪くても仕方がない

そういう生き方を自分で決めているだけ
それが嫌なら
違う生き方を自分で見つけるべきだ

スーツだけじゃない
なんとなく
何も考えずにしていることたくさん

もっと気づきたい
もっと感じたい
そして自分で考えたい

何をしたいのか
何をすべきなのか
自分でできること

自由
それが自由
だから難しい

だけどなんだか楽しくなって
スーツを着てネクタイを締めて
新しい一歩を踏み出すことにした

 

オセロ


オセロをしていた

黒を白に変えて
白を黒に変えて

端を取り
角を取り

相手を出しぬき
祈り

相手に出し抜かれ
後悔し

白は白のまま
黒は黒のまま

変わらなくなってしまった
そう思ったらまた変わって

気がついたら負けていて
たまに勝つ時もあって

オセロをしていた

僕の毎日はオセロだった

なぜオセロは白と黒だけなのだろう

僕は僕のオセロを
ピンクと黄色に変えてみた

それでも僕は
オセロをしていた

僕の毎日はオセロだった

少しだけ
少しだけ色がついた毎日だった

今度はピアノの鍵盤を金と銀に変えてみて
大きな声で歌ってみた

それが僕の新しい生き方だった
精一杯の毎日だった

 

気持ち


天気が良くて
窓際に椅子を置いて座っていたら
太陽の日差しに包まれて
暖かくて
幸福で
老人になったようで
ずっとこのままなのかな
そんなことを考えていた

アメリカ映画でよく見る光景
家の前に木製のチェア
そこに一日中
座っている老人
何をするわけでもなく
じっと
笑顔で座っている老人は
なぜだか幸せそうだった

そんな僕になりたいな
そう思った僕は
そうなったのかもしれないけど
なんか違う感じもして
不思議に思ったけれど
違ったのは僕の気持ちだということに気がついて
なぜか納得がいった
そんな気がした

気持ち
どんな気持ちだと思っていたのか
それに対して
今どんな気持ちなのか
うまく言えなけれど
充実感
心の余裕
納得感
そんな言葉が思い浮かんだ

結局は自分の気持ちなんだな
人からどう見えるか
人からどう見られるか
そんなことは関係ない
と言うか人が感じることであって
自分にとってはどうでもいいことであって
結局は自分
自分がどう感じるか

当たり前のことだけど
そんなたり前のことに気づいたからといって
どうなるわけでもなく
自分の気持ちが変わるわけでもなく
自分の気持ちは自分で作るものだけど
作ろうとして作るものでもなく
普段の思いや感じることだから
それが自分を作るものだから

そう思って
感じて
気づいて
思って
想って
祈りながら
生きることにした
それが今の気持ち

 

富士山


富士山が見えた
思わず声を上げる

富士山だ
そう言っていた

当たり前なのに
おかしい

富士山は
そんな存在

山の頂に
雪が積もっている

綺麗
美しい

そんな山
皆が思う山

知らないうちに
手を合わせている

そんな山
皆が慕う山

富士山見えるかな
みんなが言っている

今日も言っている
そんな山

そんな日常