ただそれだけ


いつの間にかにいなくなる
僕のまわりから
人が

いつの間にか一人になる
僕だけ
みな楽しそう

いつの間にか消えている
取り繕う
そんな僕

一人じゃない
みんなと盛り上がっている
楽しそう

そんなふうに
取り繕う
意味のない僕

一人でいいじゃないか
それが僕
受け入れればいい

だけど客観的に見てごらん
何か理由があるんだよ
改善することは必要さ

でも取り繕うのは違う
ごまかすのは違う
目で見えること 見えないこと

心をごまかしてはいけない
だから考えるんだ
これでいいのかいけないのか

それだけわかれば大丈夫
人とのつきあいは世界との融合
必要なこと

そして
自分の心に嘘をつかない自分
それが自分であるということ

わかったでしょ
簡単なこと
ただそれだけ
 

 

誕生日


僕は僕で僕ではなくて
僕は僕でありたかったけど僕にはなれなくて
僕は誰かというとどこの誰でもなくて
僕は僕でしかなくて
僕は僕ではない僕が僕になろうとして
僕は僕を拒絶しながらも僕は僕に優しくて
僕は僕であることに誇りを持てず
僕は僕の僕が途方に暮れていることを知って
僕は僕であることに絶望していた

なんで

僕は僕でしかないのに
なぜこんなことを考えるのか
僕は僕に誇りを持てる僕にならなければならない
だって
僕は僕だもの
それ以上でもそれ以下でもない
だけど絶望している僕がいる
僕のなりたい僕になれない僕に絶望している

ばっかだな


がんばれよ

素敵だよ
そんなところもある
きっとね
誰かが知っている
僕のこと
だから
がんばれよ

生きて生きて

僕になろう
僕だけの僕になろう
僕の僕のための僕になろう
僕が生まれてきた理由
知りたくないかい
僕は僕になる
生まれたからね
そう
僕は生まれたんだよ

 

風に吹かれて


風が吹いている
強い風が
何もかも吹き飛ばすような
冷たい風が
吹いている

風は
どこから来て
どこへ行くのだろう

風は
何を連れて
誰を連れて

風は
どこへ行こうと
しているのだろう

僕は風に抗い
歩いていた
だから連れて行ってもらうことにした

だって
目的地がなかったから
歩く目的もなかったから

だけど
断られた
風に

君を連れてはいけない
僕には目的がある
連れて行く人も決まっている
だから
時に強く
時に冷たく
吹くんだ

僕は聞いた
いったい誰を連れて行くんだい
そして君の目的はなんだい

風はそんなことも知らないのか
そう言うと笑って
何も答えずに行ってしまった

僕は風に吹かれながら
その場に佇んでいた
どこへ行くこともできなかった

でもしばらくたつと
なんかわかったような気がして
歩き出してみた

一緒なんだ僕も風も
僕が風なんだ
僕は風に吹かれながら歩き出した
 

眠り


僕はね
眠ることが大好き
うつらうつら
まどろみに身を任せ
最高の瞬間

眠るって楽しいよね
嬉しいよね
夢が観れる
あの懐かしい日々が蘇る
素敵な日々

眠ることがそんなに楽しいのなら
ずっと眠っていればいい
ずっとまどろんでいればいい
だけど
それて死ぬこと?

そうかもしれない
でも生きながら死ぬこと
それが眠ること
だから気持ちいい
素敵な瞬間

さあ みんな
今日も眠ろう
眠るのを削って何してるんだい
眠ろうよ
だって

それが
この世で一番楽しい瞬間
僕だけのものだから
君だけのものだから
僕らだけのものだから

さあ
眠ろう

 

旅立ち


僕はね
寂しがり屋で
怖がりで
いつもびくびく怯えては
いいことありますようにと
祈ってる

僕はね
幸せ求めて
旅をして
いつも何かを求めては
何も得られぬ自分がいて
時が過ぎるの焦ってる

僕はね
どうにかしたいと思ってる
どうにかするがわからない
どうすればいいのかもわからない
いつも聞いていたからね
いつも安心してたからね

僕はね
それでも自分で生きていかねばならない
それを知ってる自分も知ってる
だから旅に出なきゃならない
行くあてなんかないけどね
行き先わからず目標立たず

僕はね
それでいいんじゃないかと思ってる
決して諦めなんかじゃない
ごまかしなんかでも全くない
僕は僕であるために
ずっと考え続けてきた

僕はね
僕は僕のままでいいんじゃないか
最近やっとそう思えた
もちろん諦めなんかじゃない
ごまかしなんかでも全くない
僕は僕でしかないのだもの

僕はね
僕のままでいるよ
だってこれまで生きてきて
僕は僕のままだったんだから
今更何を変えようとするの
変える必要ないんだよ

僕はね
僕なんだ
僕でしかないんだ
ようやく気付いた
ようやくわかった
だから旅に出るんだ

一緒に行ってくれるかい

 

 

幸せな日々


家に帰ると
手紙が届いていた
なんだろう
誰からだろう
セールスかな
そう思いながら
部屋に入り
封を切ると
写真が入っていた

懐かしい
僕の昔の写真
満面の笑み
まわりにいる人間も同じ
メモが一枚入っている
こんな写真が出てきました
幸せでしたね
そう書いてあり
差出人の名前はなかった

けど誰かはすぐわかった
差出人の住所は書いていない
なぜ僕の住所がわかったのだろう
不思議に思いながらも
昔のことだ
たまたま懐かしい写真が出てきて
持っていてもしょうがないから
送ってきたのだろう
そう思い僕は寝てしまった

夜中に目が覚めて
あの写真のことを思い出した
笑っていたな
僕もみんなも
よく考えたらずっと笑ってないな
こころからの笑い
そんなことを考えていたら
朝になっていた

机の上にあった昨日の写真に目が止まった
いつ頃の写真だろう
写真には日付が入っていた
6年前の今日だった
忘れもしない
あの日だった
その日は僕の誕生日で
そう僕には仲間たちがいた
僕はお祝いをしてもらっていた

それはそれは楽しい
幸せな瞬間
素敵な瞬間
ずっと続けばいいのに
そんなふうに思っていた
忘れもしない
その日の帰り道
僕は車にひかれて死んじゃった

そうか今日は七回忌なんだな
そんなこと思ったら
僕は眩しい光に囲まれて
とんでもない幸福感に包まれて
そうか
僕は幸せだったんじゃないか
思い出して
本当に幸せになった
 

 

発見


不思議な夢を見た

湖の上
ボート
手漕ぎの古いボート
僕は
一人で
漂っていた

湖面に映る
自分の顔を見るのだけど
どうしても
見ることができない
一生懸命覗き込むのだけど
僕の顔が映らない

おかしいな
オールを持って
湖面に打ち付けた
大きな水しぶきが上がり
僕の手にかかった
そこに僕の手はなかった

僕の姿はなくなっていた
ボートには誰も乗っていなかった
そうなのか
それじゃ湖面に映るはずないよね
そう思った僕は
あれ 僕はどこに行ったのかな
そう思ったら目が覚めた

不思議な夢だな

起きたはずの僕の姿はどこにもなかった
あれ おかしいな
なんでだろう
そうおもったけど
そう思う僕はもうどこにもいなくて
そうか
最初からいなかったんだ

僕はようやく気づいた