最近
いつも思うんだ
眠くて
眠くて
眠くてしょうがない
このまま
ずって寝てられたらいいのに
いつまでも寝てられたら
どんなに気持ちいいか
夢の中で
あんなことやこんなこと
楽しいことや不思議なこと
起きたり起こしたり
まどろみながら微睡んで
いつまでも
いつまでも
そんな時間を過ごしたい
そんな時間を過ごせたら
どんなに素敵だろう
この世の天国だ
天国？
君は天国を知っているのか
知ってるのなら教えて欲しい
あのことやこのこと
そこにいる人たちのこと
いますぐに行きたいんだ
そう わかった
僕は眠いんだ
葉っぱの上に
雫
溜まっていて
今にも落ちそう
僕は急いで口をつけて
ごくん
雫は僕のからだを駆け巡り
僕になった
その雫は緑の匂いがした
なんか僕は
この世界
一緒になったような気がして
晴れ晴れしいような気になって
背筋伸ばして
空を見たんだけど
そこには空はなくて
茶色い大地があって
僕は理解した
僕は大地
一緒になったんだ
りんご
美味しいよね
僕はね
りんごの皮が好き
くるくる剥いて
捨てちゃうなんてもったいない
部屋の飾りつけ
にてるよね
僕は手を上に上げ
りんごの皮を吊るして
下から食べていくんだ
ムシャムシャムシャ
いいだろ
虫になったみたいだ
食べてる途中に
横を見たら
皮をむかれたりんごがあった
なんだか恥ずかしそう
かわいそうに思って
僕は両手でりんごを覆った
そのりんごは僕を見て
少し赤くなった
僕はりんごに口をつけた
冷たくて甘くて
いいのいがするそのりんごは
僕のりんごだった
カマキリのメスは
カマキリのオスを
食べるらしい
そして
立派な
たくさんの卵を生むらしい
食べられてるとき
カマキリのオスは
どんな気持ちなんだろう
痛くないのかな
怖くないのかな
それとも
食べられて
あたらしい
卵になるの嬉しいのかな
だから
仕方ない
そう思っているのかな
だって
どうせ死んじゃうんだもん
だったら
人の役に立ちたいな
愛するあの娘のためになりたいな
生まれてくる子供のためになりたいな
そうなのかな
カマキリ
今度聞いてみよう
キミは知ってた？
ミーンミーン
うるさくてしょうがない
夏だから仕方がない
聞こえなくなると寂しい
そんなアイツ
一週間くらいで死んじゃうらしいけど
この間テレビでやっていた
どこかの学生が発見したって
実は一ヶ月くらい生きるってこと
誇らしげにそう言っていた
キミは知ってた？
ミーンミーン
うるさくてしょうがない
でもそれまでずっと土の中
何年も何年も
真っ暗な土の中
普通の昆虫って一年間も生きないらしい
だから彼は長生き
とてつもなく長生き
人生経験豊富な
うるさいアイツ
キミは知ってた？
ミーンミーン
うるさいアイツ
なぜ外に出てきたのか
子供を生むため
子供を産ませるため
だからね
子供生んだら
死んじゃう
そのようにできている
それがうるさいアイツ
キミは知ってた？
君は何のためにここにいるの？
