秘密


僕には秘密がある
誰にも言えない
言わないこと

僕だけの秘密
大切にしまっている
僕だけの宝物

人はみな秘密を持っている
彼女もそう
誰にも言えないことがある

僕らは秘密を大切に育て
時々宝箱のふたを開けて
そっと取り出す

ちょっとだけ告白して
そのまま事実になるものもある
そっと宝箱に戻すものもある

秘密は時に僕だけのものでなくなる
僕と彼女の二人だけの秘密がある
それは僕に興奮と恐れと喜びを与える

臆病な僕は
そんな秘密に耐えられなくて
僕の宝箱にしまいこむ

バカね
彼女はそういって
僕の宝箱から秘密を取り出す

彼女はその秘密をそっと抱きしめて
いたずらな顔で僕を見て
こう言う

秘密と内緒は違うの
秘密が内緒になって
ひとりのものがふたりのものになって
幸せになるの
だから幸せは内緒なの
ふたりだけの内緒なの
だから私は外であなたと腕を組んだりしない
ベタベタしたりなんかしない
人に見せるものじゃないから
ふたりの幸せはふたりだけのものだから
内緒で秘密のことだから
だからそれは宝物
私たちふたりの宝物
それが秘密