宇宙へ


愛すべき日々
美しさ
僕は青春にいる

君を探す
いたずらな顔
笑う

僕は
愛し
愛された

こんな日々が
日常
錯覚

いつまでもつづく
気持ち良さ
誤解


僕らは
別れなくてはならない

なぜ
なんで
疑問

だけど
それが
真実

神様
お願い
懇願

でも
違う
僕は

自らの手で
自らの行き先を
決めねばならない

僕はひとり
ひとりの人間
ひとりの男

旅に出る
僕は
宇宙へ

僕は
人間
愛すべき日々へ

 

 

ふたりはひとつ


僕はね
驚いた
何に驚いたのかって

君だよ
見てしまったんだ
君の裸

びっくりだよ
美しさ
初めて知った

そんな君が
僕を好きになってくれたら
僕は死んでもいい

ほんとは死にたくないさ
君を抱きしめたい
裸の君を

だって
こんな素敵なことはないよ
僕だけに見せてくれるんだ

それが
僕を好きになるということ
最高だね

僕は思う
無人島で
君と二人きり

裸で
浜辺を走り回るんだ
手をつないでね

そして
波打ち際で
太陽に照らされながら

熱く熱く
深く深く
抱きしめ合うんだ

わかるだろ
素敵だろ
僕は幸せ者さ

だから
願う
僕の君になって欲しいと

君の僕になるからさ
いや
違う

僕は君だ
君のための僕だ
だから二人は一つになるんだ

君の僕
僕の君
二人はひとつ

 

ありがとう


なんで
なんでだよ
いいじゃないか

関係ないだろ
これは僕自身の
僕だけの問題だ

だから
干渉しないでくれ
ほっといてくれよ

心配するふりなんて
しないでくれよ
ほっといてほしい

だって
僕のこと
知らないだろ

僕は
僕しか信じない
だから干渉しないでくれ

お願いだ
やさしい言葉なんて
かけないでくれ

僕は
ひとり
ひとりで生きて行くんだ

やめてくれよ
慰めなんていらない
ほっといてよ

僕は
僕のことは
僕しかしらないんだ

だから
そんな顔で
僕を見ないで

さよなら
ほっといて
僕は行くから

お願いだ
ほっといてくれ
お願いだ

ありがとう

 

 

青の場所


雪が降り続く中
あの場所へ向かった
行く必要なんてないのに
なぜか向かっていた
ひとり

あの場所は
海の近くにあった
夏は緑があふれ
木立を抜けると
圧倒的な海がいた

僕と彼女は
毎日そこで会った
何するわけでもなく
何かしたいわけでもなく
そこにいた

そこで
緑や青や海を
黙って見ていた
それだけ
ひとつになった僕ら

僕と彼女
そして
緑や青や海と
一緒になった
そんな場所と時間

あれから何年たったのだろう
ここに来るのはあれ以来
ひとりで来たのは初めてだ
おかしいな
ふと思う

だって
僕はずっとひとりで生きてきたのだから
いつでもここに
来ることができたのに
こなかった

これなかった
僕は
傷つくのが怖かった
だけど
いま僕はここに来た

あの場所は雪に覆われていた
白とネズミ色と海があった
だけど
ここは確かに
あの場所だった

あの時
この場所と時間は
僕らのものだった
僕と彼女
そして自然たち

僕はひとり
自然も色を変えてしまった
でも
それぞれが成長している
なくなったものもある

なぜだか
おかしくなって
僕は笑いが止まらなくなった
雪に倒れこんだ
仰向けに

そこには
木の枝にとまる
大きな鳥
あの時と同じ枝
とまっていた

僕を見て
まっすぐ見て
射抜くような目で
こういった
待ってたよ

僕は
その鳥と一つになり
自然と一緒になった
緑や青や白やネズミ色や海と
そして彼女と

 

 

白鳥


湖に白鳥がいた
きれいな湖
湖畔は雪で覆われている

白鳥は白く
湖や雪の透明な青さ
深い深い空の青さ

それらとあいまって
この世のすべてを知っている
そんな自信にあふれている佇まいだった

僕は白鳥に聞いてみた
どこから来たんだい
そしてどこに行くんだい

答えるわけもなく
僕の目をじっと見たあと
飛んで行ってしまった

飛んでいく白鳥を見ていたら
お前も来いよ
そんな顔で振り返る白鳥が見えた

無理だよ
僕は君みたいに飛べしない
君とは違うんだ

そう思ったら
僕は空にいた
あの白鳥の背中にいた

思ったより
白鳥は暖かくなく
体も薄汚れ傷ついていた

白鳥は渡り鳥だった
遠く遠くを旅して
ここに来ていた

これからも遠く遠くを旅していく
なんのため
僕は聞いてみた

白鳥は何も答えず
ただ飛んでいた
僕は恥ずかしくなった

おろしてくれないか
白鳥にそう言うと
もとの湖に降り立った

白鳥は
何事もなかったかのように
飛んで行ってしまった

僕らは旅の途中
みんな一緒
そんなふうに思い

どこに行こうかな
すべてに理由がある
そんなふうに思いながら

僕は来た道を戻った

 

僕は気づく


僕の人生は僕のものであって
他の誰のものでもない
と思ったけど
実は僕だけのものではなくて
誰かのものでもあることに
気づいた

僕は僕の勝手にすればいい
そんなふうに思っていたけど
それでも誰かが助けてくれていて
それなのに僕はそんなことに気づきもしないで
気づこうともしないで
いつもあきらめていた

僕は僕の人生を自ら切り拓かなければならない
だけどそれは僕だけのこと
ではなくて
みんなのこと
みんなと一緒に
切り拓いていかなければならない

僕は僕であるけれども僕だけのものではない
同じように
君は君だけど君だけのものではない
君が欲しいということではない
君を助ける僕がいる
君を助ける僕でありたいということ

だから僕は君と一緒に暮らしたい
君と一緒に人生を切り拓きたい
一緒に
ずっと一緒にいたい
そんなことに
ようやく気づいたんだ

 

野菜


野菜を作ろうと思う
家庭菜園じゃない
畑を耕し
ちゃんと人に買ってもらう
農家
そう農業だ
僕は
生産者になるんだ

なんて
いきり立ってみたけど
思い上がりだよね
生産者
違うよ
野菜は
自分の力で育つ
僕らはその手助けをするだけ
だから生産者なんて
言っちゃいけない

野菜は
青々しくて
みずみずしくて
僕や僕らを
青々とした
気持ちにさせてくれる
生きる意志がみなぎった水
そんな感じ
だから
僕らは
野菜を食べなければ
生きていけない

僕らは
野菜とともにある
時に思う
僕らは野菜に
何かしてあげているかと
水や肥料を与えること
そんなんじゃない
僕らは
ともに生きているんだ

野菜よ
青々とした野菜たちよ
僕や僕らは
君や君達と
一緒に暮らしている
一緒に生きている
一緒に育っている
だから
野菜よ
僕らと一緒に
太陽の日を浴び
過ごそう

それは
素敵な日々だ
僕らは
自然だ
ひとつになろう
野菜よ
人間よ
僕らは
同じ自然だ