僕は泣いた


温もりが欲しい
そんな夜
誰にでもある
そんなとき君はどうする

僕は
温もりを求めて
温もられるような
夢を見る

マッチ売りの少女
一緒だね
一瞬の幸せ
夢見るとき

そんな僕には
マッチすらなくて
思い出や
暗闇しかなくて

温もりを得るために
何をするわけでもなくて
ただただ
夢見ている

そんな僕は
不幸せかというと
決してそんなことはなく
結構幸せで

これが普通
そう思ったけど
普通の意味がわからなくなって
というか知らなくて

知りたい
普通の意味ではなくて
僕を
僕の気持ちを

そう思ったから
僕は感じて見た
暗闇の中で
僕の気持ちを感じて見た

そうしたらわかった
温もりとは
欲しがるものではなくて
必要なものだと

だからそれがないと
僕は生きていけない
生きていけるけど
生きているフリをしてるだけ

わかったから
わかったから
なぜだか
涙が止まらなくて

声をあげて
大きな声をあげて
泣いた
僕は泣いた

 

美しさを


赤ワイン
白ワイン
ロゼもある
どちらがいい
ここはイタリアンレストラン

そんな歌があったっけ
ピアノを弾きながらあの人は歌う
人生を
人々の生き様を
楽しそうに切なそうに

僕も歌われるとしたら
どのように描かれるのだろう
人には生き様がある
というより
生きている

その姿は人それぞれ
すべてが美しい
見た目には惨めに見えるかもしれない
しかし生き様に優劣はない
他人が決めることではない

だからそれを知っている人は優しい
あの人が楽しそうに切なそうに
歌うことができるのは
それを知っているから
生きることの美しさを

さあ
僕はどんな僕になれるだろうか
楽しみだね
そして僕もいつかあの人のように
優しさを与えられる人になりたい

人の美しさを
生きることの美しさを
楽しく切なく
優しく伝えられる
僕になりたい

 

手をとりあって


車を運転していたら
自転車に乗った二人
仲よさそうに
並んで走っている

手をつないでいないけど
手を繋いでいるのがわかった
そんな二人
幸せそうな楽しそうな二人

街中で手を繋ぐ二人
幸せそう?楽しそう?
誰に見せているの
二人ですればいいじゃない

手を繋いでないけど
繋いでる
それが見える二人
幸せな二人 楽しい二人

そんな二人に
僕らもなりたいね
いつでも
いつまでも

 

山の緑


山が
山の緑が盛り上がって
それはやがて
こちらにやってくる
そして僕を飲み込む

と思ったけど
そんなことはなくて
それは
僕の心
僕の心を飲み込んでしまった

山々の緑は分厚くて
あの緑は
完全に山を支配していて
一体いつから
いつからここにあるのか

そう思っていたら
僕も支配されるんじゃないか
いつかやってくるのではないか
あの山々のように
覆いつくされてしまうのではないか

そう思って
怖かったけど
なぜだか僕は
僕も支配されたい
そんな気持ちも少しだけあって

支配されたらどうなるのかな
僕を守ってくれるのじゃないかな
あの山々のように
美しくなれるのじゃないかな
幸せになれるのじゃないかな

そう思った僕は
気がついたら
山の中にいて
山と一体になっていて
山の緑に覆いつくされていて

初めて自分が何者なのかわかった
 

 

遠くに


どこか遠くへ行ってしまいたい
そう思うことがあるけど
すでに僕は遠くにいた

みんなと別れ
みんなと離れ
僕は遠くに来てしまった

これ以上
僕はどこへいけばいいというのだろう
何から逃れればいいというのだろう

僕にできることはただ一つ
生きること
誰かのために生きること

そして
自分のため
自分のために生きること

それだけ
ただそれだけ
でも難しい

生きるということは
楽しくて苦しくて
難しい

だから知ることができる
僕のこと
自然のこと

遠くに来たから
知ることができたこと
今度はみんなに伝えなきゃ

だから
僕は帰ることにした
みんなのところに

 

ひどい一日


ひどい一日だった
何もかもうまくいかず
やけのやんぱち
そんなふうに思ってしまうくらい
よくないことばかり
ついてないな
これからどうしたらいいんだろう
という思いとともに
悔しいな
寂しいな
辛いな
そんな思いも相まって
なんでこうなってしまったんだろう
過去を振り返り
というか後悔ばかりしてしまい
心を曇天が支配していくような感じ
僕自身が僕をを追い詰めている
そんなふうにも思ったけど
どうしようもなくて
このままの状態が辛いから
寝ることにしたけど
寝ても忘れられなくて
ずっと思い続ける自分がいて
やっぱり朝起きたら真っ先に思い出して
布団から起き上がれなくて
いつまでもいつまでも寝ていたかったけど
そんなこともできなくて
空は晴れているのに
僕の心は一片の日差しも差し込まなくて
どうしたらいいんだろう
そう思ったけど起きるしかなくて
もうどうしようもないから
僕はノートとペンを持って
どうしたらいいか考えることにした

何が原因でこうなったのか
僕はどうすべきだったのか
人のせいにするのではなく
まずは僕
僕自身がどうすべきであったのか
そしてなぜこうなったのか
これからどうしていくべきなのか
僕は何をすべきなのか

僕は書いた

そうしたら
気がついた
なあんだ
悪いのは僕で
僕でしかなくて
あの日テレビで見た占いのせいでもなく
大嫌いなあいつのせいでもなく
僕だけに悪いことが起きているのでもなく
すべて僕
僕自身のせいで起きていることだということが
わかった

わかったから
僕はわかったから
しょうがない
もう後悔はやめよう
反省だけしよう
そう思って
散歩に出かけたら
なんか心の曇天が少しだけ晴れるような気がして
気持ちいいな
そう思ったけど
あの
悔しさや
寂しさや
辛さは
忘れることがなくて
それはそうだよな
僕の気持ちだもんな
忘れるわけないよな
そう思える僕がいて
僕はその気持ちと一緒に
生きていくしかなくて
生きていくことを決意して
決意というほど大袈裟じゃないけど
これから何をするかだ
そう思い
空を見上げたら
今まで見たことのないような
雲が
悠々と広がっていて
その隙間から
青い空がどこまでもどこまでも広がっていて
僕は
なぜだか恥ずかしくなって
走り出した

 

キスしてほしい


キスしてほしい
キスしてあげる

大好きな彼女
大好きな彼氏

キスしたい
キスされたい

触れたい
触りたい

なぜ
なぜしたいの

外国人は
いつでもチュッチュ

僕らのキスは
あれとは違う

もっと神聖で
もっと本能的なもの

すべてが変わる
この世が変わる

誰とでもしないけど
誰かとしたい

キスして
キスしよう

僕らは不思議な生き物
僕らは下等生物