街を歩く二人


街を歩く二人に地図はいらないぜ
こんな歌があったっけ

いま街を行く二人は
相手の顔など見ずスマホ見て

GPSで自分たちがどこにいるのかなんてすぐわかる
二人が離れていたって相手がどこにいるかもわかる

そんな時代
そんな僕ら

行くあてなどない
歩き続ける二人

そんなこともなくて
行き先も行き方も時間も言われた通り

そんなの当たり前
そんな僕ら

君たちどこに行くんだい
何しているんだい

地図がいらないのには訳があるんだぜ
二人だけの秘密

だから街を行く二人
二人だけの空間

目的なんかいらない
行き方だって知らなくていい

二人でいることができれば
何もいらない

だから二人
街を歩く

こんな幸せ
想像できるかい

最高だよ
 

 

僕らの街


踏切があった
一時停止して
左右を確かめてから渡ったけど
その線路はもう朽ち果てていて
電車など走っていなかった

しばらく行くと
駅があった
簡素な建物
かつて人が行き交ったのだろうか
そんな気配はどこにもなかった

線路に沿って進んでみた
あっという間に途切れて
工事現場にぶつかった
何を作っているのか何を直しているのか
そこにも人の気配はなかった

一体全体どうしてしまったのだろうか
ゴーストタウン
蒸発
そんなことはない
今でも人は暮らしている

変わったのはまわりだけ
そこに住む人たちは何も変わっていない
田畑を食い荒らしては去って行くバッタと一緒
この街のことなんて考えていない
ここで暮らす人のことなんて考えていない

これは何もとある田舎町のことだけではない
都会だっていつかこうなる
みんな自分のことしか考えていないから
ここが自分の街だと思っている人なんていないから
いつか自分だけ得して抜け出そうと思っている

こんな世の中
おかしいねって言ったところで何も始まらない
おかしいことがおかしいとわかる人はもういない
わかっていても知らないふり
そうじゃなければ生きていけない

こんな世の中
いつかSFの世界が現実になる
みんな勝ち組だと思っているかもしれない
だけどいつか地球を食い荒らしに来る奴らがいる
それは僕らもしてきたこと

僕らはバッタなんかじゃない
この街を愛し
ここで暮らす人たちを愛し
愛し合う僕らがいる
そんな僕らでありたいじゃないか

まだ間に合う
僕らが僕らでいられるために
つまらない諍いなんて早くやめて
充実させよう
この街に住む僕らだから

 

ダーレのせいでもありゃしない


ダーレのせいでもありゃしない
みんなオイラが悪いのさ

こんな歌があったっけ
誰の歌だろう

僕は実力もないのに
実力があるふりをして

自分の意見を言うわけでもないのに
誰かの意見をさも自分の意見かのように同調して

弱いものを見て見ぬ振りをして
強き者に媚を売って

いつもヘラヘラ笑っては
相手の顔色ばかり伺って

自分だけは特別だと
成果ばかり欲しがって

それなのにリーダシップも何もなく
みんなの意見に従って

それがマネジメントと偽って
何も決めれず現状維持

ダーレのせいでもありゃしない
みんなオイラが悪いのさ

それでもわかるだけマシじゃない
自分のせいだと気がついた

誰かの言うこと従って
やり遂げるだけが取り柄の僕

言われたことしかできなくて
言われたことだけ頑張る僕

それでも僕は気がついた
それが取り柄な僕がいる

何もできないよりはマシじゃない
些細な取り柄があるだけマシじゃない

そうだよ
それが僕なんだ

だったらそれを頑張ればいい
何言われようがかまうものか

自分ができることをすればいい
自分にしかできないことすればいい

言われたこともできない人
世の中たくさんいるんだよ

かっこ悪いかもしれないが
自分で作り出せないかもしれないが

真面目な僕のできること
それをやればいいじゃない

みんなの価値観従うことない
僕には僕の幸せが

あるのに初めて気づいたよ
なんで今頃気付いたの

それでも気付いただけマシなこと
気づかない人いっぱいいる

僕だけできることまだまだある
それをやり遂げよう

それが僕の生きる道
分相応の生きる道

それが高みの生きる道
気がつかないのが僕のばか
 

 

与えられた時


うまくいかないな
そんなこと思いながら歩いていると
目の前を蝶々が横切った

白い蝶々は
羽をばたつかせて
揺れながら飛んでいた

どこに行くのだろう
どこか行くところはあるのだろうか
そんなことを思った

蝶々は
なんのために生きているのだろう
そんなこと考えたことあるのかな

毛虫の時と
蝶々の時
どちらが本当の姿なのだろう

白い蝶々は
僕の前を横切ると
田んぼの方に行ってしまった

毛虫の時と
蝶々の時
与えられたその瞬間を

懸命に生きているだけかもしれない
生きている意味
そんなの考えてもしょうがない

懸命に生きるのが先
与えられた僕自身なのだから
蝶々は教えてくれた

もしかしたらあの蝶々は
それを教えるために
生まれてきたのかもしれない

あの蝶々は誰だい

 

僕は泣いた


温もりが欲しい
そんな夜
誰にでもある
そんなとき君はどうする

僕は
温もりを求めて
温もられるような
夢を見る

マッチ売りの少女
一緒だね
一瞬の幸せ
夢見るとき

そんな僕には
マッチすらなくて
思い出や
暗闇しかなくて

温もりを得るために
何をするわけでもなくて
ただただ
夢見ている

そんな僕は
不幸せかというと
決してそんなことはなく
結構幸せで

これが普通
そう思ったけど
普通の意味がわからなくなって
というか知らなくて

知りたい
普通の意味ではなくて
僕を
僕の気持ちを

そう思ったから
僕は感じて見た
暗闇の中で
僕の気持ちを感じて見た

そうしたらわかった
温もりとは
欲しがるものではなくて
必要なものだと

だからそれがないと
僕は生きていけない
生きていけるけど
生きているフリをしてるだけ

わかったから
わかったから
なぜだか
涙が止まらなくて

声をあげて
大きな声をあげて
泣いた
僕は泣いた

 

美しさを


赤ワイン
白ワイン
ロゼもある
どちらがいい
ここはイタリアンレストラン

そんな歌があったっけ
ピアノを弾きながらあの人は歌う
人生を
人々の生き様を
楽しそうに切なそうに

僕も歌われるとしたら
どのように描かれるのだろう
人には生き様がある
というより
生きている

その姿は人それぞれ
すべてが美しい
見た目には惨めに見えるかもしれない
しかし生き様に優劣はない
他人が決めることではない

だからそれを知っている人は優しい
あの人が楽しそうに切なそうに
歌うことができるのは
それを知っているから
生きることの美しさを

さあ
僕はどんな僕になれるだろうか
楽しみだね
そして僕もいつかあの人のように
優しさを与えられる人になりたい

人の美しさを
生きることの美しさを
楽しく切なく
優しく伝えられる
僕になりたい

 

手をとりあって


車を運転していたら
自転車に乗った二人
仲よさそうに
並んで走っている

手をつないでいないけど
手を繋いでいるのがわかった
そんな二人
幸せそうな楽しそうな二人

街中で手を繋ぐ二人
幸せそう?楽しそう?
誰に見せているの
二人ですればいいじゃない

手を繋いでないけど
繋いでる
それが見える二人
幸せな二人 楽しい二人

そんな二人に
僕らもなりたいね
いつでも
いつまでも