ROUTE DU TAMADUTSUMI


ドライブに行く
いつもの場所

なんのへんてつもない
ただの一本道

大きな川沿いの
土手の上

ここからはいろんなものが見える

野球をしている人
ジョギングする人
部活の子供
散歩している人
子供を遊ばせている家族
寝ている人
暮らしている人
水面に浮かぶ鳥
遠くに見えるマンション群

なんのへんてつもない
ただの日常

素晴らしい日常が
そこにあるから

僕はその場所が大好きだった

ドライブに行く
いつもの場所

今日も行く
いつもの場所
 

積み木


積み木で遊ぶ君
崩れて悲鳴を上げる
大丈夫
僕が一緒
一緒に積み上げるから

怖がらないで
ひとつひとつ
しっかりと
積み上げるから
手を取りあって

だから笑顔で
積み木を手に取ろう
僕の手
君の手
一緒に取り合って

僕たちは一緒に暮らしてきたのだから
積み木なんてお手の物さ
簡単なこと
そうじゃない
それが大切なこと

ひとつひとつ
大切なものを
慎重に
大胆に
積み重ねていく

それが大事なものだと知ってはいても
大切なことだとは気づかない
遅くはない
構うもんか
一から始めよう

僕らの積み木
君と僕
ひとつひとつ
手を取り合って
まだこれからだから
 

自転車に乗って


自転車に乗って
どこまで行けばいいのでしょう
どこへ向かえばいいのでしょう

僕らは月夜に向かう
この世の向こうに
僕らの知らない世界に

夢を見て
希望を抱き
まだ見知らぬものを目指して

自転車に乗って
僕らは太陽に向かって漕ぎ出す
あの熱い太陽に焼きちぎられたくて

僕らの世界は
退屈だけど楽しくて
本当は刺激に満ちていて

希望に溢れていて
希望を掴みとれなくて
どうしていいかわからなくて

自転車に乗って
僕らは漕ぎ出す
明日に向かって

素敵な明日に向かって
素晴らしい明日を信じて
僕らの希望にむかて

一人じゃない
みんなで向かう
それが僕らの未来
 

輝きの街


雪が降ったんだ
都会では
4年ぶりの大雪らしい

次の日
君は見たかい
朝日に輝く一面の雪を

僕は電車から見た
黄金色に輝く平野を
独り占めをした

だって他の人は
みな気がつかない
スマホに夢中

みんなに教えてあげたかったけど
僕は我慢して
ひとり笑ったんだ

週末
雪が残る街
陽の光が反射して輝いていた

みんな知っているのかな
この街の輝き
いつもと違うこの風景

教えてあげたいな
でもいいか
そう思って街に出かけ

輝きを独り占めして
僕は笑って
その輝きに包まれた
 

ピーよ


インコはどこにいるの
黄色いインコ
青いインコ

僕の家にいるインコ
名前はピー
いつも一緒

いつもの風景にいるピー
自然界には存在しない鳥
かもしれない

わからない
見たことないんだもの
家の中にしかいない鳥

ピーは僕を見て鳴く
楽しげに
寂しげに

僕はピーをカゴから出し
恐る恐る飛ばす
飛びたいのかい

それとも怖いのかい
わからない
ピーは変わらぬ瞳で僕を見る

そんなに僕を見ないでよ
そんな目で僕を見ないでよ
君を捕まえてるわけじゃない

だから一緒に鳴こう
一緒に泣いておくれ
なあピーよ

いいだろう
僕を見て
僕も君を見続けるからさ

 

クマのぬいぐるみ


コストコ
クマのぬいぐるみを買ったんだ
君が喜ぶと思って

とてもとても
とても大きな
クマのぬいぐるみ

車に押し込み
君のいる場所へ
向かったんだけど

君はもうそこにはいなくて
僕の横には
大きなクマのぬいぐるみだけ

とてもとても
とても大きな
クマのぬいぐるみ

それからというもの
僕はずっと
クマと一緒

朝ごはんを食べるのも
昼寝をするのも
ぼんやり夜空を見上げるのも

そうしていたら
いつのまにか
僕はクマに恋をしてしまった

クマといることが幸せだった
幸せだということに気がついた
だから安心して

僕は君がいなくても大丈夫だから
大丈夫だから

とてもとても
とても大きな
クマのぬいぐるみ