手を繋いでいる人を見ると
羨ましく思ったり
恥ずかしく思ったり
邪魔だなっと思ったり
ちょっと興味が湧いたり
手を繋いでみたいと思ったり
やっぱ恥ずかしいよなと思ったり
するわけ無いでしょと思ったり
絶対しないねと思ったり
よく考えてみたら
したことないや
だって恥ずかしいし
みっともないし
嫌なんだもん
だけど
ちょっと
ちょっとだけ羨ましくも思って
少し考えてみた
今度してみよう
一度だけね
一度だけ
だって僕はめんどくさがりで
恥ずかしがりで
かっこつけたがりで
嘘つきだから
そして
僕の手はポケットの中だから
昨日公園で寝転がっていたら
久しぶりに毛虫を見た
ああこんなところにいたんだ
よく生きていたね
そんなこと思いながら
人気のいないところに避難させてあげたら
木の上から尺取り虫が降りてきて
エレベータみたいに上がったり下がったり
なんだ
みんな元気じゃないか
知らなかったな
知らなかったな
ちがうよ
何も変わってない
気がつかないのは僕だけ
気がつかないのには理由がある
それに気がつかないのが僕
そんなことに気がついて
笑っちゃったよ
ピクニックに行ったんだ
おにぎりやサンドイッチ
たくさん持って近所の公園に行ったんだ
近所の公園はひと月前の公園とは違っていて
生き返っていて
というか前から生きているんだけど
灰色だったその光景が
生き生きとした新緑に覆われていて
目覚めたのか生き返ったのか何も変わらないのか
僕にはわからなかったけど
普段の僕もそう見えているんだろうな
そう思って僕も変わって見えているといいな
そんなこと思って
おにぎりをパクついた
ピクニックっていい言葉だな
お肉が食べたいな
スイカが食べたいな
餃子が食べたいな
アイスが食べたいな
今日はご飯よりパンの気分だな
そら豆のシーズンだな
タケノコ生えてきたね
あのお団子美味しそう
あのピーナッツ国産かな
あの牛乳賞味期限はいつなんだろう
美味しいものが食べたいな
新鮮なものが食べたいな
旬なものが食べたいな
安全なものが食べたいな
少しでも安くていいもの買いたいな
たまには贅沢したいな
たまにはいいだろ
ああ美味しい
お腹いっぱいだ
幸せだよ
そう僕らは幸せなんだ
こんなにたくさんのご馳走
いったい誰が僕らに用意してくれてるんだろう
昔漫画で見た
王様の暮らしそのものじゃん
僕らは王様
これ以上何が欲しいというの
欲張り
僕らは欲張り
だって僕らが幸せであることすら
気づいていないのだもの
そろそろ気づいてもいいのかもしれない
いや
気づいていないふりをやめるべきかもしれない
だって僕らは
本当に欲しいもの
知ってるのに
知らないふり
気づいてるのに
気づかないふり
そんな暮らしをやめるべき時が来たんだ
今日スーパーに行って聞いてご覧よ
僕が欲しいもの
売ってないんですけどって
正直に行ってご覧
君が欲しいもの
売っているところを教えてくれるかもしれない
だってスーパーマーケットだもの
きっと探してくれるはず
君の一番欲しいもの
公園で寝転んでいたら
日差しが眩しくて
目をつぶっても眩しかったから
タオルをかぶって
寝ていたんだ
そしてらどこからか風が吹いてきて
いつの間にか僕は空を飛んでいた
魔法のジュータン
昔よく見た光景
風に流されヒーラひら
どこまで飛んでいったのだろう
タオルをはずして目を開くと
そこにはいつもの公園といつもの緑
僕は眠っていたのか
昼寝の夢
そう思って起き上がろうとしたら
僕の身体はどこにもなくて
あれ
おかしいな
そう思ったら
僕は一匹の蟻になって
大きな大きな荷物を背負って
蟻の巣に向かうところだった
働かなきゃ働かなきゃ
そう思って働き続けた
ゴールデンウイークが始まって
10連休だから
みんな出かけたり出かけなかったり
それでも街やテレビは
いつもと変わらなくて
いつもの日常があって
なんだ10連休じゃないじゃん
休む人がいるってことは
働く人もいるってことで
だから10連休ってなんだ
そんなこと思ってたら
そんなこと考えて何になるのか
そんなこと思ったから
頭も10連休
ちょっとはリフレッシュしたら
そうか
ゴールデンウイーク
そのためにあるんだって気がついた
