なにもない岬


僕は車を走らせる
海岸沿いの一本道
隣に朽ちた線路があり
波が僕らを攫いそう

僕はそれでも走り続け
輝く海の案内に
ただただ車を走らせる

途中に緑の草原が
きれいな馬が闊歩して
ちょっと寄っていけばいい
そう言い僕を見つめてる
急ぐんだ
そう言い 僕は先をいく

僕は車を走らせる
行き先は決まってる
あの岬まで走るんだ

目的なんてない
ただただ僕は走るだけ
風の強いあの岬

岬につき
僕は気がついた
ここに来る必要があったこと

なぜかって
それはね
君が来た場所だから
君がいた場所だから
君と出会った場所だから

岬は強い風が吹き
僕は風と一緒になり
僕は彼女と一緒になった

なにもない岬
僕にはかけがえのない岬
風の強いあの岬